第69話 ページ22
モブ女子 A子side
青春学園高等部には、決して逆らってはいけない人物がいる。教師すらも逆らえない彼らの怒りを買って、無事だった人を私は知らない。
「きゃーっ!西くんどうしたの!?」
「西くんの綺麗な顔がっ!」
昼休みの終わりかけ、教室に甲高い声が響いていた。
声の主達は皆キラキラ女子で、私みたいなモブ女子とは住む世界の違う子達。そんな子達が慌てて向かう先には、口元を切って頬を腫らし笑うイケメン、西 天馬がいる。
ヘラヘラ無害そうに笑って、キラキラ女子に囲まれている姿だけをみるなら少女漫画の様だが、あの男もやばい奴だって事はこの学校に通っている人間なら知っている事。
理不尽で喧嘩無敗の武闘派の双子と、人脈と戦略で落としにかかるあの男。モブである私は震え上がりできるだけ存在感を薄くしているが、この男に関してはそんな事する必要がない。
しかし、あの悪魔の方が優しく思える双子と並んで、決して逆らってはいけない人物の一人なのだ。
「ちょっと、ある子を怒らせちゃってね」
「誰にやられたの!?西くん女の子に強く言えないでしょ?」
「あたし達がやり返してあげるから!」
聞こえてくる会話をライトノベルで顔を隠しながら聞き耳立てる。
いつもだったら、ここで相手の名前が出てこのキラキラ女子達が般若の様な顔してその子に仕返しに行く。私はその名前を聞いてその子のいるクラスに近づかないようにしようとか考えるだけなんだけども。
「駄目だよ。仕返しなんて考えちゃ駄目だ」
そんな言葉の後に、プレイボーイは笑いながら言った。
「女王様の所に君達を向かわせられないよ」
「え……っ」
「西くん、何をしたの?」
思わず、私はライトノベル越しにプレイボーイの方を向いてしまった。
プレイボーイは、見たこともない笑みを浮かべて言っていた。
「サクノって子を探してくれないかな?女王様のお気に入りらしいんだ」
青春学園高等部は、女王である東 乙女の独裁だ。
皆彼女に目を付けられれば学校に来られなくされる。何人もの女子が自主退学。手を出した男子は病院送り。新任教師はとある事情で解雇されて……。
しかし、それが起きても未だ平和だと言えるのはこのプレイボーイがいるからでもあった。
西 天馬は女子には絶対手を上げないし、色んな忠告をして女王の機嫌を悪くさせないようにしているからで。
そんな男が、何故か女王を怒らせようとしていた。
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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか? (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます! (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2020年9月4日 12時