[d!]紫煙の感覚を知っている。 (ページ14)

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「Aさんに彼シャツして貰いたい」

そんな欲望を口に出しながら、比較的小さいサイズの物のTシャツと紐で締められるタイプのズボンを持っていく。
聞くこともなく扉を開けたが、Aさんは居なかった。そりゃそうだが、ラッキースケベ起きんかなーと考えていた俺はちょっと残念である。

「ここに服、置いておきますね」

そう言い残し、そっと出た。

Aさんが髪を濡らしたまま出てきたので、ドライヤーの場所を教えた。
俺の服を着ているAさん。サイズはそこまで離れていなかったらしく上は着れているが、ズボンはずりずりと引き摺っている。

「Aさんって、髪綺麗っすね」
「そ…うかな。ありがと」

綺麗な黒髪。大事にしているのだろう、天使の輪が綺麗にできている。
毛先までパサパサしていることが無く、きっとそれを保つのは凄く大変なことなんだろうな、なんて考えた。

「俺も風呂入ってきます。適当に寛いでてください」

果たしてドライヤーを使っているAさんに届いたかは知らないが、俺は風呂に入るべくAさんから離れた。