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「なんの用だったんだ?」
「あ!そうそう!食堂に来て欲しいの!至急!」
えっと二人が声を揃える。点検はどうやら終わったようで、まぁ……と着いてきてくれることになった。
*
三好さんに呼ばれ、食堂まで歩いていく。目の前の彼女は浮き足立っていて、何が起きるのかは予想できない。横のタカ丸さんは少し不安そうに眉を下げている。
「さあさあ!入って!」
呼びかけられるまま食堂に入れば、そこには伊助と三郎次がいた。テーブルの上には美味しそうな___
「と、豆腐ハンバーグだ!?」
震えた。焼き豆腐に美味しそうな艶のある餡がかかっている。これを二人が?と尋ねれば、二人は眉を下げてはにかんだ。
「僕ら、前みたいに皆で活動したくて」
「だから、いつも久々知先輩がしてくれるように料理を作ったんです」
それが台本なのか二人の本音なのか、今はどうでもよかった。タカ丸さんはポロポロ涙を零して「ごめんねぇ……ありがとぉ……」と二人の頭を撫でている。三好さんは満足気に笑っていた。
「ありがとう、三郎次、伊助……。酷いことしたのに、こんな」
「いえ!確かに痛かったですけど、僕ら先輩達に避けられる方が悲しいですから!」
ほら、冷めちゃいますよ!と伊助が笑った。四人で座って、箸を入れる。お茶は三好さんが淹れてくれた。「案外普通なんだな」と三郎次が言うと、彼女は「私をなんだと思ってるの!?」と怒った。
「お、私が一番最後か?」
食堂に顔を出したのは土井先生だった。一つ皿が余っていると思ったら、彼の分だったらしい。いつの日かこうして全員で豆腐を食べた記憶を思い出した。戻ってこないと思っていた暖かい記憶。
「ありがとう、三好さん」
そう呟けば、彼女は「えっ」と目を丸くして、視線を泳がせた。恥ずかしそうに頬を押えて「いやぁー」と笑っている。
「笑い方気持ち悪いなお前」
「おぉっと!ろじってば本当にツンデレなんだから!何?私が可愛いって?もー!上手ー!」
「言ってねぇよっ」
「ねぇねぇ天……三好さんは前髪切らないの?」
「覗き込むな顔が良い!何となく伸ばしてただけだから後で切ってもらおうかなぁ?でも切ったら私の美少女さに皆クラクラしちゃうかもなー!?」
「はいはい、じゃあ後でお部屋行くねー」
「スルースキル凄くない?」
アハハ、と食堂に響く火薬委員会の笑い声を聴きながら、心の中でもう一度、作戦を考えてくれたであろう三好さんにお礼を言った。
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小桜(プロフ) - ほんっっっとうに面白いです! 夢主ちゃんの言うことに共感しかありません。そうですよね、忍たまキャラはみんな殺戮兵器ですよね、視界に入れただけで失神してしまいそうです。夢主ちゃんってアホだけどアホじゃない(何言ってんだ?)! 続きも楽しみにしてます! (2022年3月28日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - ( ・_______・ )くじら!さん» わぁ!ありがとうございます!音読して笑っていただけるの嬉し〜い!!私も音読して笑ってます!(うん?)夢主はこれからもハイスピードで駆け抜けていきます!楽しんでいただけると嬉しいです! (2021年11月23日 15時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
( ・_______・ )くじら!(プロフ) - とても夢主ちゃんの(いい意味で)アホなところに面白くて笑っています!偶に音読して、さらに笑っています!(笑)お身体大事にして下さい:) (2021年11月12日 12時) (レス) @page26 id: 4f01b1638d (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - いちごもんすたーさん» ありがとうございます!ちまちま更新頑張ります! (2021年9月20日 11時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもんすたー(プロフ) - 夢主さんのオタク発揮具合がめちゃくちゃ面白いです(笑)更新楽しみにしています!お体にはお気をつけて (2021年9月16日 21時) (レス) id: c5f21f47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2021年9月15日 16時