「エピローグ」 ページ31
夜中一時。月明かりだけが部屋を照らし、人々は自宅でぐっすり眠っている頃。けたたましいサイレンの音で目を覚ました。
ふと出窓の方へ目を向けると、ぼんやりとした月明かりの中に黒い人影が見えた。影はマントのようなものをゆらゆらと揺らしている。ベッドから起き上がりカーテンを開けると、そこにはベランダの手すりに立つ純白の紳士が立っていた。
出窓を開けると、彼は手すりから降りて私の髪にキスをする。
「こんばんは、心優しいお嬢さん。」
「相変わらずキザなんですね大怪盗さん。」
「おや、もう名前で呼んでくれないのですか?」
笑顔で微笑まれる。
私は彼の手を取り指を絡めると顔を近づけて
「こんばんは、怪盗キッドさん?」
「中々積極的な方ですね……」と言われた。貴方がヘタレだからです、というのは言わないでおく。
「私の名前は呼んでくれないんですか?」
ムス、とした顔で言う。
彼は「な、名前知りませんから」と誤魔化された。私は「佐々原A」と言うと、彼はニヤリと笑って
「教えてしまってよかったんですか?」
と言った。
「メッセージカードを託したあの日、江戸川コナンくんから聞いたのかと思ってたんですけど。」
そう笑えば、一本取られたとばかりにクククと喉を鳴らしていた。
「呼んで、くれないんですか」
指を緩めると彼は指を抜き手を握って引っ張る。もう片方の手は頬に添えて、耳元で彼の声が響いた。
「こんばんは、Aさん」
ぶわ、と頬が染まる。
ヘリコプターの羽音とサイレンが徐々に大きくなっている。
目を合わせた2人は、あは、と笑った。
「今日も頑張って逃げ切ってくださいね」
「勿論、愛しい恋人の頼みなら」
ちゅ、と頬にキス顔とされたと思えば彼はふっといなくなってしまった。
「あぁっ、また頬……!」
少女は頬を抑えながら、ぼんやり光る月とけたたましいサイレンに怒っていた。
Secret Friend 一END一
32人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2019年4月13日 20時