「コンテニュー」 ページ26
ぜぇぜぇと息が切れる。走ってきた勢いそのままに叫んでしまったから、酸欠で頭がクラクラする。
自分勝手ながら、返事は聞きたくなくて彼が口を開く前に踵を返して階段を降りてしまった。
……開かれたドアの後ろにコナンくんがいたのに、私は気づかなかった。
夜の街を駆ける。家に帰ってから、親に「どこに行ってたの」と聞かれたので、「友達がキッドを一目見たいと言っていたので付き合ってた」と適当な嘘をついた。
洗濯してくれたのだろうか、優しい匂いのするベッドに心が落ち着いて知らぬ間に眠りについてしまっていた。
*☼*―――――*☼*―――――
……それから数ヶ月。
夏の暑さも和らぎ、肌を撫でる風が冷たくなってきた。ススキがふわふわと揺れている。
今日は十五夜とか言う日で、月はまんまるく光っていた。
出窓を開けて、月を眺めている。
中々情緒のある事をしている。
今日くらい受験勉強をサボったってバチは当たらないはずだ。
あれから何回も予告はされたが私の家には来てくれなかった。
私も彼と出会う前の生活に戻り、人から心配されること無く過ごしていた。
やっぱり全部夢だったのだと思うことにした。そうするとなんとなく気が楽になったから。
空っぽの心のまま高校受験のために勉強に精を出し、責任感を持って学校生活を送るだけ。
夜風に揺れるカーテンを見て、初めて"夢"を見たあの日を思い出す。
_____もう、二度と夢を見られないのなら心の留め具を外してしまったって問題ないだろう。
辛くなるのは自分だけで十分だ。
膝を抱え込み、額を擦り付ける。
「どうして来てくれないんですか……
怪盗キッド」
「お呼びですか、お嬢さん」
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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2019年4月13日 20時