「嘘つきは取り残される」 ページ20
「へ……」
菜摘が目を見開き、困惑している。
「昨日の夜、A……キッドに泣かされて……」
「なにそれ、夢でも見てたんじゃない?昨日の夜は菜摘、悪い夢を見たのか知らないけど、私の部屋に来たじゃん。寝惚けてたの?」
「えっ……で、でも、窓開いてる……!」
ふと窓の方に目を向けると、ガス抜きの為だろうか、少しだけ開いていた。
「……あぁ、流石に2人で布団に入ると暑いから開けといたんだよ。エアコン使うの勿体ないしね。」
ニコ、と微笑んでそう言えば、菜摘は腑に落ちないような、でも言い返せないような複雑な顔で「そっか」と言った。
ごめん、ごめんね、今までのは全部夢だったんだよ、菜摘。
「朝ごはん食べようか」
「……うん。」
そう、あれは夢。
不思議で少し甘くて、最後はやり過ぎなくらい苦かった夢。
全部夢。
忘れても何ら問題ない。
から。
ねぇ
早く忘れろよ、A。
「……!」
聞き覚えのある声が脳に響いた。
頭が痛くて涙が出そうなのを唇を噛んで堪えた。
夢を見て泣くなんて、小さな子供みたい。
馬鹿らしくて、ため息をこぼした。
*☼*―――――*☼*―――――
私はわかりやすく落ち込んでいたようで、学校ではクラスメイトに何度か声をかけられた上、体育の授業で教師にも「保健室行くか?」と勧められた。
良いです、大丈夫です、と断ったものの……このままでは本当に保健室行かされそうだなあなんて。自分のメンタルの弱さに呆れて声も出ない。
「随分とリアルな夢だったな……」
乾いた笑いと共に零したその言葉は空気に溶けていった。
夢から覚めたはずなのに、心だけ夢に取り残されたような……そんな気持ち悪さに吐き気がして。
私はまた、"素のA"を*して"皆のA"を取り込んだ。
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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2019年4月13日 20時