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「知らなければ良かった」 ページ14

それから、毎予告日キッドは私のもとを訪れて話を聞いてくれた。

約束を破らないというのは、嘘ではなかったようだ。





でも……


私を助けてくれた優しいあの男子高校生には会わなかった。

時間を故意的にズラしているのか、それとも忙しいのか。

お礼をしたいのに出来なくてなんだか複雑な気持ちになっていた。



……もしかしてやっぱり、彼が……


いや、違う。確かに彼は優しかったけどあんな口調じゃないし、そもそもあんなに若くないはずだから。





*☼*―――――*☼*―――――






( ……本当は毎晩会いたいんです。 )




( 毎日話を聞いて欲しいんです。 )




( 貴方の優しさに触れていたいんです。 )




私は未だあの怪盗を名前で呼ばない。


呼んでしまったら、心の留め具が弾けてしまいそうだったから。


気づいていた。






気づいていたんだ。







*☼*―――――*☼*―――――


その日は寝つきが悪くて、夜中に起きてしまった。

二度寝する気も起きなくて、カーテンを開けて夜闇をぼんやり照らす月を眺めていた。

満月ではなかった。淡い光が周りの星を霞ませて、部屋の中をほの暗くさせた。


じんわりと目の奥が熱くなって、頬を一筋熱が流れて行った。


「……?」


______泣いている?


私は何で泣いてんの。


意味がわからなくて、情緒不安定で、涙が止まらなくなった。

「寂しい……」


夜中1人で目覚めることがこんなに寂しいなんて知らなかった。

全部全部、あの人のせい。あの人が、悩みを他人に打ち明ける気楽さを、私に教えたから。

否、そうさせたのは私であるけども。



その時の私はどうしようもなく、泣き疲れるまで声を押し殺して泣いた。

「寝言」→←「窮地」



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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/  
作成日時:2019年4月13日 20時

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