「窮地」 ページ13
夕方___
菜摘が話をしたいというので、菜摘の部屋で向き合って座っていた。
「なあに、どうしたの急に？」
「いや、大したことじゃないんだけど……」
目の前でレモンティーを啜りながら菜摘が質問をなげかけてきた。
「毎晩誰かと話してるよね？」
どくん、と心臓が大きく跳ねた。
「え？」
「Aが悪夢を見たあの日から、気になって夜中寝付けないんだよ」
どくんどくん。
焦りで心臓がいつもより活発に動いている。項を冷えた汗が伝う。焦りがバレないように口元に笑顔を忘れない。
「だから夜中、全部ってわけじゃないけど、Aが誰かと話す声が聞こえるんだ。それも敬語。内容もわかんないし、Aの声が大きくなった一瞬だけ微かに聞こえるくらいなんだけど。
ねぇ、誰と話してるの。」
上手い嘘をつかなくては。私は部活に入ってないから部活の先輩というわけにはいかないし、先生と連絡しているとなれば更に拗れる。
何て言えば、納得してくれる……？
アイスティーを1口飲み込んで心を落ち着ける。
一つだけ、言い訳するなら……
「先輩だよ。」
「は？」
「先輩。高校生。この前転びそうになった時支えてくれた人がいて……その人と連絡取ってるの。」
ごめんなさい助けてくれた人……利用させてもらいます。
「………………へぇ。そうだったんだ。ごめんね変な事聞いて。」
「気にしないで。私が煩くしちゃったのが悪いから！」
とくん、と脈が正常になるのがわかる。はぁ、乗り切った。怖くて怖くてたまらない。
……この子は意外と人に興味を持つタイプだったのかも。
「じゃあ部屋戻るね」
「うん。」
立ち上がって菜摘の部屋のドアを開ける。
「……怪盗キッドと話してるのかと思った」
「！」
またしても心臓が大きく跳ねた。
バレないように、でも逃げるように菜摘の部屋から出て扉を閉める。
「っはぁ……っ！」
バレたらいけない。でも勘づいてる。
そりゃそうだ。
私の態度が変わったのはキッドの予告日からだったし、私の話し声が聞こえるのもキッドの予告日なのだ。
正確には０時を回っているので翌日になるけど。
「疑うのも無理ないか。」
ポツリ、と一言こぼして部屋に戻った。
いつまで私達はこうなんでしょう。
この満ち足りた心はいつまで続くんでしょう。
ねぇ、貴方ならわかりますか。
私の、大切な
秘密の……友達。
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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます！これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします！レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜！ (2020年2月19日 19時) (
レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです！偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃花おむ子 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時：2019年4月13日 20時
