〈完〉本能の領域

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「ん.....」
「おはよ、A」
「っ.......ユンギさ、っ.....！」
「腰痛いだろ、無理すんな」






そっと身体を支えて起こしてくれたユンギさんは私と違ってちゃんと服を着ていて、恥ずかしくなって布団で身体を隠した。
ヒートも治まっていてどうしてとユンギさんを見上げると、身体拭くついでに机の上に出てた抑制剤飲ませた、と髪を撫でられた。

ほっぽられた服を掴んでユンギさんに背を向けて着替えようと思って、ふとこの状況に違和感を感じた。ユンギさんってΩが嫌いだったんじゃないの...？
私のその不安に気付いたのか、背後からユンギさんの白い腕が優しく抱き締めてきた。






「ん.....なんですか、」
「いや、疲れたなと思って」
「ごめんなさい...」
「ふ、なんで謝るんだよ」






くつくつと楽しそうに笑うユンギさんは、そっとうなじにキスを落とした。
なぁ、低い声が鼓膜を揺らす。息がうなじに掛かってくすぐったかった。

Ωが嫌いだって言った俺を、お前は許してくれるか？

掠れた声が、不安そうに肌に当たる。弱い力で私を抱き締めるユンギさんの手に手を重ねる。正直すごく悲しかったし、やっぱりαとΩは相容れないんだと感じてしまった。でも、ユンギさんを信じたい気持ちが残っていたのは事実で、だからユンギさんが今日来てくれてよかった。






くるりと振り返ると、びっくりした様子のユンギさんの頬を優しく包む。






「好きです、ユンギさん」






そう言うと、安心したようにユンギさんは笑ったんだ。俺もお前が好きだ、って。






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