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「ったく、ジミンの奴...」
結局、しっかりとAの家の前で降ろされた俺は、受け取ってしまった合鍵を弄りながらオートロックの前でどうしようかと悩んでいた。部屋番号を押すボタンには鍵を挿せばオートロックが開く鍵穴がある。開けていいものか周りを見渡していれば不意に内側からドアが開き人が出てきてびくりとする。
同時に、異様な匂いが鼻を掠めた。
まるで蜜のように甘い匂いに、身体に電流が走ったような感覚に陥った。閉まっていくドアの向こうに、欲するものがある。気付けば鍵穴に鍵を挿し込み俺はオートロックの中へ入っていた。
「っ.....は、ぁ...」
物凄い匂いだった。でも入ってすぐに分かった。これはΩのヒートだと。αだからかそれが噎せ返る程の匂いとなって感じているのにも。
階段を上がる足がどんどん早くなって3階に着いたところで違う悪寒が身体を駆け抜けた。残された僅かな理性がAの部屋が3階だった事を思い出させ、302号室に駆ける。
302号室の前、玄関のドアに寄り掛かるように熱い息を漏らし蹲る身体を勢いそのままに抱きしめた。脳を溶かすような甘い匂いに包まれる。Aっ...そう名前を呼べば、虚ろな瞳が俺を捉えユンギさん、と掠れた声を漏らした。
あぁ、もうイきそうだ。
ゾクゾクと身を震わせて、動けなくなっている彼女を抱きかかえ玄関を開けて中に二人崩れるように入り込んだ。
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ヒスイ(プロフ) - 桜餅.さん» ありがとうございます、オメガバースというジャンルがこの界隈にも知られていけば嬉しいなと思います。オメガバースシリーズぜひジミンさんの方も宜しくお願いします(^^) (2019年8月11日 9時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅.(プロフ) - オメガバース好きなので嬉しいです、とても感動しました。このような作品を作っていただきありがとうございます (2019年8月9日 23時) (レス) id: 444f8cfc75 (このIDを非表示/違反報告)
ヒスイ(プロフ) - もりぞうさん» こちらこそありがとうございます!ジミンさんのお話の方もぜひ宜しくお願いします!こちらこそ応援しております。 (2019年7月20日 17時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
もりぞう(プロフ) - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!素敵な作品をありがとうございました(^^)続編も読ませてもらってます。ジミン氏のお話が読めて嬉しいです!これからも応援しております(*^^*) (2019年7月18日 21時) (レス) id: a002e2b5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ヒスイ(プロフ) - のさん» そう言っていただけると私もとても嬉しいです。人同士の繋がりはとても大事に書かせています。誰かの為に、逆に誰かのせいで、そういうものに世の中は呑まれているなといつも思っているからです。今後も宜しくお願いします! (2019年7月15日 20時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
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