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「ユンギ、っさ.....」
「っ...逃げんな、」
驚いたのか立ち上がりかけたAの身体を抱きしめる。びくりと震えたAは、諦めたのか俺の名前を呼んで身体の力を抜いた。
身体を離してAを見下ろすと、どうして、というように瞳を揺らしていた。何も言わずに来てごめん、そう謝ればやっとジミンと俺が組んでいたのが分かったのか力なく首を横に振られた。
隣座っていいか?そう聞けば頷く彼女に従って隣に腰を下ろす。
この間は悪かったな、そう言った後にこの間って言っても1ヶ月前かと目を伏せる。そんなにも会っていなかったのかと悲しくなった。
もう無理矢理はさせない、お前にも触れない、きっと無意識でしていた彼女と繋いだ手も彼女からしたら嫌なことだったかもしれない。つくづく俺は自己中心的にしか物事を運べないんだなと嫌悪の情が渦巻いた。
隣のAは不思議そうに俺を見上げていた。まるで、そうではないと言うように。
「.....A?」
「...違いますよユンギさん、あの日の問題はそこじゃないです」
ふる、とさっきと同じように首を横に振ったAは泣きそうな程に潤ませた瞳で俺を見つめた。何か、強い意志の篭った瞳。そこでジミンの言葉を思い出す。
"Aが何を言っても、Aを否定しないであげてください。"
Aが心を決めてくれたのだ。俺もそれに応えてやらなきゃいけない。妙に時間が進むのが遅く感じた。
「.....私、Ωなんです」
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ヒスイ(プロフ) - 桜餅.さん» ありがとうございます、オメガバースというジャンルがこの界隈にも知られていけば嬉しいなと思います。オメガバースシリーズぜひジミンさんの方も宜しくお願いします(^^) (2019年8月11日 9時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅.(プロフ) - オメガバース好きなので嬉しいです、とても感動しました。このような作品を作っていただきありがとうございます (2019年8月9日 23時) (レス) id: 444f8cfc75 (このIDを非表示/違反報告)
ヒスイ(プロフ) - もりぞうさん» こちらこそありがとうございます!ジミンさんのお話の方もぜひ宜しくお願いします!こちらこそ応援しております。 (2019年7月20日 17時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
もりぞう(プロフ) - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!素敵な作品をありがとうございました(^^)続編も読ませてもらってます。ジミン氏のお話が読めて嬉しいです!これからも応援しております(*^^*) (2019年7月18日 21時) (レス) id: a002e2b5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ヒスイ(プロフ) - のさん» そう言っていただけると私もとても嬉しいです。人同士の繋がりはとても大事に書かせています。誰かの為に、逆に誰かのせいで、そういうものに世の中は呑まれているなといつも思っているからです。今後も宜しくお願いします! (2019年7月15日 20時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
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