〈完〉本能の領域

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「ん.....」
「おはよう、A」






半分寝惚けながら身体を起こしてぼうっとしていると、起きた？と優しい表情でジミンが顔を覗かせた。ゆっくりと頭が覚醒していく。ヒート五日目の朝だと、ジミンに教えられるまで正直暫くの間全てが吹っ飛んでいた気さえする。

ヒートはだいぶマシになった。ヒート自体マシも何も無いと思うだろうけど、やっぱり最初の3日ぐらいはただひたすらに番を求める。番の居ない私は、全ての男性とαの女性を求める様にフェロモンを放出し続けている、らしい。
自分ではよく分からないし、ジミンもヒートの効果を全く感じない人だから結局よく分からないけれど。






きっと、ユンギさんには効果が出る。






「A？」

「...っごめん、なに？」
「ううん、だいぶ安定してきたね。もう俺居なくて大丈夫そう？」
「うん、ごめんねジミン。今度ご飯作るよ」






やった、そう言って目を細めたジミンにこっちまで笑みが溢れる。可愛い人だと、つくづく思う。ジミンを縛りつけるのは違う気がするともう何度も考えているけれど、きっとジミンは優しいから私の傍に居てくれる。
ユンギさんも優しいから、いや、でもあの人はαだからな...こうやって悩んでいると、何だか随分人間らしくなったなと思える。

A、俺もう仕事行くけど、そう言うジミンを見送りに玄関へ。
ヒョンとちゃんと話すんだよ、あと抑制剤もちゃんと飲んでね、ぽんぽんと私の頭を撫でたジミンはにっこり笑って行ってきます、と私の家を後にした。






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