湖の畔で02 ページ41
駆け抜けるスターリンの姿は、本当に楽しそうで。
スターダムもスターリン程ではなくても、楽しそうで遠乗りに出掛けて良かったと思った。
……あれは、リリアではない?
私の姿を見付け、嬉しそうに此方に駆け寄ってくる姿は、まさに年相応だけど……。
お嬢様っぽくなくて、私は好感を持てる。
中身が中身なだけにね。
……それでも、あの時の事があるから用心は怠らない。
「アリス様、こんにちは」
「こんにちは、リリア。今日はどうして此処に?」
リリアは顔は笑ってるけど、目は笑っていない状態で……。
「此処に来たら、アリス様にお会いできるような気がしたんです。やっぱり、来て良かったです」
……なんか、怖いぞ。
目だけ笑ってない、リリアの顔を見たから……なのかしら。
私の背筋がゾッとしたのが伝わったのか、アーノルドがスッと私とリリアの間に入った。
「お嬢様、失礼致します。来たばかりではありますが、そろそろお帰りにならないと家庭教師の先生に怒られてしまいます。ご準備を」
ナイスよ、アーノルド!
今日は家庭教師の先生来ない日だけど、リリアとは居ちゃいけない気がするもん。
「あれ?今日は家庭教師の方は来ない日じゃなかったですか?」
首を傾げて尋ねるリリアに、私は顔から血の気が引いた気がした。
−−何故貴女が知っているのだ、と。
声を大にして叫びたい衝動をなんとか抑え、たまたま変更になったと伝えてスターリンに跨がり馬上から。
「それではリリア、私は帰るわね。貴女もそろそろ帰った方が良いんじゃなくて?」
「アリス様が帰られるなら、此処に居る意味はないですから。それではアリス様、また……」
そう言ったリリアの顔は、さっきと同じ表情で。
ただただ、恐怖でしかなかった。
「−−アリス様、リリア嬢とはくれぐれも二人きりなどにはなられませんように。なにが起こるかわかりませんから」
「えぇ、勿論よ。あの顔を見たら、怖くてなりたくもないわ」
本音がポロリ。
此処にはアーノルドしか居ないから、本音を言っても困らない。
聞かれて困るような事は言ってないつもりだしね。
「帰りましょう、アーノルド。帰ったら、シャノンに話さなきゃ……」
「シャノンさんは知っていらっしゃったんですね、あのリリア嬢を」
前に会った時はそんなに思わなかったけど、今日のはヤバい。
リリアがリリアでないと、思うくらいには。
……まさか、本当に?
いや、異世界だからって、そんなのある訳ないじゃない。
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)?
王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。
続きがとても気になります。応援してますね。
連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時