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閑話 私の心(フリードリッヒside) ページ39

私の主であるクラウス様が、ご婚約された。
この国の未来を担う責任がある事から、隣国の王女や、貴族のご令嬢から選ばれる事となった。
勿論、公爵・侯爵家から選ばれるのは聞いていた。
国王様がお選びになる事もわかっていた。
わかってはいたけれど、まさか……ルーテシア家のご令嬢だとは。
クラウス様が嫌がっていた婚約を受け入れたのは、ルーテシア公爵家のアリス様とご対面されたあの日から。
あの良い噂を聞かないルーテシア家のご令嬢との婚約は、歓迎されてはいなかった。
王妃様も、最初こそ乗り気ではなかったものの、アリス様とご対面なさってからは静観なさっているご様子。
表立って誰も反対する事はないが、内心では思う所があるのだろう。
噂話ではあるにしろ、こんな話を小耳にはさんだ。
“あの娘では、この国の未来はどうなる事か”、と言うものだった。
黒い噂が絶えないルーテシア家との婚約は、誰からも祝福されない。
城に出入りしている者は、そう思っているだろう。
けど、兵士や私の弟はそう言った反応ではなかった。

「アリス様はとても良い子ですよ。兄上も話してみては如何ですか?」

話す? 私が? アリス様と?
アインハルトが言いたいのは、貴族からの評判が悪いだけであって、ルーテシア家…ましてやアリス様は噂通りの娘じゃないと?
そう私に言いたいのか?

「…………」

「兄上は素直じゃないですよね。子供好きなのに、噂が噂だからか…アリス様相手に素直になれない。そんなに冷たい態度のままでは、アリス様に嫌われてしまいますよ?…兄上を嫌いにならないでほしいと、アリス様に話した事はあるけど」

そっそんな事はない、私が子供好きだと言う事は。
そんな事は…決して…、ない…のだから…。

「兄上。ご令嬢やご子息の集まったパーティーの中で、アリス様に釘付けになった事があったのをお忘れですか?」

ぐっ…。 そんな事も、確かにあった。
まだクラウス様に付き従って間もない頃…、父に連れられた貴族主催のパーティー。
談笑している大人たち、お茶を楽しんでいる子供たち。
そんな中、壁に背中を預けて立っている少女が居た。
人形と見紛う容姿の、とても可愛らしい…。
父に少女の事を尋ねると、ルーテシア家のアリス嬢だと教えられた。
噂を聞いていたから、それ以降は気にも止めなくなったが…。
城で再会を果たすとは私も思わなかった。
素直になれるなら、最初からしている。
そうしないのは、私の意思なのだから。

第六章 湖の畔で01→←友人と呼ぶには03



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設定タグ:異世界転生、悪役令嬢 , 悪役になりきれてない , 何故か愛される   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)? 王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。  続きがとても気になります。応援してますね。 連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時

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