正式な婚約06 ページ33
クラウス様からの話では、リリアは子爵家の娘と言ってはいるものの、メイドとの間に産まれた子供らしい。
本妻の子供ではなく、妾腹の子供。
良くありがちな話だ事。
なん度か手を出され出来た子供だからか、彼女の母親は子爵のお気に入りだったのかしら?
子爵家と言えば、貴族の中でも階級は下の方。
とは言え、良くない噂は流されるだろう。
子爵家や男爵家の子息、令嬢からは文句は言われないだろうけど。
他の伯爵家や侯爵家、公爵家からは話のネタになっている事だろう。
「ゴメンなさい、アリス様に気安く声を掛けてしまって」
「私は良いわ、気にして居ないもの。リリアはこんなお茶会は初めてなの?」
「初めてです。今はまだ、家ではマナーなどを教えて貰っている最中ですから」
荒削りではあるものの、良く仕込まれている。マナーを教えてくれる家庭教師がよっぽど良いのね。
所作の一つ一つが良く出来ている。
リリアは私の視線に気づいて、首を傾げている。
「あの、どうかなさいましたか?」
「いいえ、なんでもないわ。クラウス様、私はそろそろ失礼させて頂きます」
帰る事をクラウス様に伝えると、もう帰ってしまうのと言いたそうな顔を一瞬したけど、何故かすぐにニヤッと笑われた。
…なにか企んでいらっしゃる顔だと言うのは、すぐにわかってしまった。
「クラウス様、なんですかそのお顔は」
「残念だけど、アリス。君はこの城に泊まる事が決まった」
後ろから失礼致しますと声を掛けてきたのは、アインハルトだった。
通りで、熟年の執事が私に付いててアインハルトの姿が見えないと思ったら。
「申し訳ありません、アリス様。クラウス様のたってのご希望でして。お父君には了承を頂きまして、執事たちにも連絡をさせて頂きました」
(――なにをしてくれちゃってんだ!)
内心大荒れになっているけど、顔は笑顔を貼り付けたままに。
アインハルトは焦っているけど、クラウス様は決まったからかにこにこしていらっしゃる。
「…意地悪な方ですのね、クラウス様」
「大丈夫ですよ、アリス様。スティーブ様もご一緒なら、とアリス様に付いていらした執事に頼まれまして。スティーブ様の方には、先に伝えさせて頂きました。スティーブ様もご了承下さってます」
大丈夫ではないけど、シャノンが気を利かせてくれたのね。
自分たちは泊まれないから、身内のスティーブが居れば安心だろうと。
安心できるのは家だけなのよ!
やだ、もう…帰りたい。
68人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)?
王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。
続きがとても気になります。応援してますね。
連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時