正式な婚約04 ページ31
ひそひそと話す声が、彼方此方で聞こえてくる。
伯爵家や侯爵家の子供たちね、噂をしているのは。
…低い爵位の者が、私に声を掛ける事は出来ないから。
私は公爵家の娘だから。
それに、挨拶回りを済ませたであろうクラウス様が私に付いていらっしゃるから。
下手に仕出かすような馬鹿は居ない。
「よう、アリス!」
後ろから声を掛けてきたのは、スティーブだった。
彼も侯爵家だから、参加していたのね。
「あら、スティーブ兄様。どうかなさったのですか?」
ニヤッと意地の悪そうな顔で私を見るなり、頭を撫でに来た。
「いや?アリスが遅刻してきた事が珍しかったのと、
二度目は強調したわね、スティーブ。
…目を合わせようとしないと言う事は、大丈夫かな。
まぁ元々、参加したくなかったけど参加せざるを得ない状態だったからね。
クラウス様の婚約者として、参加しなくてはならないものだったから。
しかも、本来ならこのお茶会でクラウス様は婚約者を選ぶらしかったけど、私とお見合いした事で決まってしまったから、ただのお茶会になったとアインハルトから会場に着く前に聞いた。
国王様がそう望んだからだとアインハルトは言っていたけど、貴族たちを納得させるべく、お茶会を開く事にしたらしい。
王族も大変なのねと、同情したけど。
…おやまぁ、向こう側で私を睨んでいる令嬢を見付けた。
親の爵位は知らないけれど、私に向かって睨むなんて。
「目付きの悪い令嬢も居たものだね。俺の可愛い
そう言ったスティーブの顔は笑っていたけど、目が笑っていない。
…ねぇ、その顔怖いんだけど。
ある人を思い出すから嫌なんだけど。
そのおかげで、令嬢たちはそそくさと逃げていったけど。
「ふふふっ。スティーブ、君とは仲良くやれそうだ」
「光栄です、クラウス様。ですが、手加減はしませんよ?」
「僕もそのつもりだよ。なに分、鈍感だからね」
…私を置いて、なんの話をしているんだろう。
会話に交ざれないではないか。
鈍感って、誰の事を指してるのかしら?
「クラウス様、そろそろお時間です」
クラウス様を呼びに来たのは、何故かアインハルトで。
フリードリッヒはどうしたのかと尋ねると、他の見習い執事を仕切っているらしい。
彼も大変なのね…。
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)?
王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。
続きがとても気になります。応援してますね。
連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時