両親は悪役貴族、娘の私は悪役令嬢…よね？

可愛い妹03 ページ23

「クラウス様、フリードリッヒさんとなにかあったのですか？」
「…ちょっとね。アリスは心配しなくても大丈夫だよ」

クラウス様は、私の耳に入らないよう配慮して下さって居るんだ。
私の事を思って、優しい方なのだ。

「いいえ、クラウス様。クラウス様が私の為にして下さっているとはわかっておりますが、私の事ならばはっきりと仰って下さい。…国王様は賛成なさっていらっしゃるけれど、王妃様やフリードリッヒは反対なのではありませんか？私が、クラウス様の婚約者になる事を」

まっすぐな目で問い掛けると、クラウス様は参ったと言わんばかりに手を上げた。
私も大概だけど、クラウス様も子供らしくないわよね。
この子供らしくない会話も、大人顔負けとまではいわないけど、普通の子供のするような会話ではない。
クラウス様は次期国王として子供ながらに努力していらっしゃるのだと、犇々と感じた。
私みたいな、中身がおばさんなのとは格段に違う。

「…確かに、父上が賛成している事から、僕とアリスの婚約を表立って反対する者は居ない。お母様も、反対はなさってないが、賛成もしていない。今は仮の婚約であって、正式な婚約をするのは15歳になってからだと父上も仰って居たからね。…フリードは、噂を何処からか聞いたのだろう。貴族たちの、あらぬ噂を。其処で、アリスの父上の悪い噂を聞いたんだ。悪い奴ではないんだよ。悪い噂で、良し悪しの判断が付かない程落ちぶれてはない筈なんだけど…」

そう話してくれたクラウス様の表情は、いつもより暗く感じた。
自分が信用している部下が、自分の婚約者を疑っているのだから、やるせないのだろうな。

「だからと言って、婚約を解消だなんて絶対しない。僕はアリスと結婚すると決めたんだ。他の子と結婚なんて、考えられない」

そう言って此方を見たクラウス様の瞳は、輝いていて、前を見据えている。
強く決心したんだなと、表情を見ればわかる。
私も、クラウス様の力になれるよう頑張らなくちゃ。
王宮の作法やマナー、王妃としての振る舞い。
15歳になれば本格的に学ばなければならないそれを、10歳になったら学ばせて貰えるよう頼んだ。
15歳まで、待てないわ。
中身がおばさんな分、今からでも受けたいくらいなのだけど。

「クラウス様、妹君を見せて頂けるのでしたよね？どちらにいらっしゃるのですか？」
「そうだったね、この部屋だよ」

話ながら来て居たある部屋の前。
此処に、可愛らしい妹君様がいらっしゃるんだ！

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