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閑話 僕とアリス(クラウスside) ページ20

「クラウス、そなたには婚約して貰う」

この一言で、僕の中のなにかが変わった。
父上の期待に答えよう、その為に勉強を頑張っている。
王子として、立派な大人になりたい。
その一心でやって来た。
王族ならば、婚約者が居て当然だ。
まだ五歳であっても、例外ではない。
三つの時から、そう教えられてきた。
僕の婚約者は、宰相と言う役職に就いているルーテシア公爵の一人娘だと、大臣たちや父上から聞いた。
下位貴族の中からも候補は選ばれたものの、ルーテシア公爵の娘以上に、婚約者として相応しい者は居ないとかで決まったらしい。
ルーテシア公爵の噂は、城に居る者なら聞かない事はない。
横領などの悪事をやっていると、悪い噂が絶えない。
けど、父上が噂上の人物をまだ宰相にしているのは、真実がわかっているからなんだろう。
父上は、周りからはおっとりしていて、王としての威厳に欠けている。
父上は人一倍、国を思っている人だから。
国王としての責務を必死に果たしている。
僕はそんな父上の背中に、憧れているんだ。
父上の言葉を聞いた数日後、ルーテシア公爵の娘と会う事になった。
当日、どうしても会うのが嫌でメイドから逃げ回っていた僕は、客室の扉をノックした。
誰も居ないかもしれない、誰か居るかもしれない。
居ても良いようにとノックをしたら、中から返事が返ってきた。
扉から顔だけ覗かせると、其処には優雅にお茶を楽しんでいる同い年くらいの女の子が居た。
少し話してみると、名前はアリスと言い、親に付いてきて此処で待っているのだと教えてくれた。
…まさか、彼女が僕の婚約者?
とも思ったけど、アリスに名前を聞かれ、答えようとした瞬間、ノック音が聞こえた。
メイドに見付からないよう隠れると、アリスは誰も来ていないと言って、庇ってくれた。
メイドが去っていって、漸く自己紹介出来た。
アリスは驚いていたものの、少し考える素振りを見せて、自分が僕の婚約者になるかもしれないと言った。
今僕が、不安と不満をアリスに言ったから、断りやすいようにと言ってくれたんだとすぐにわかった。
けど僕は、アリスが婚約者になってくれたらと思っていたから、嬉しかった。
父上に喜んで受けると伝えると、パーティーが盛大になった。

「クラウス様、娘をどうぞ宜しくお願い申し上げます」

ルーテシア公爵は、やっぱり噂のような棘の人ではない。
直接会って、そう確信した。
アリスの両親は、愛しそうにアリスを見ている。
幸せそうだな、とても。

第三章 可愛い妹01→←顔合わせ07



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設定タグ:異世界転生、悪役令嬢 , 悪役になりきれてない , 何故か愛される   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)? 王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。  続きがとても気になります。応援してますね。 連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時

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