罪の色とわたし。 ページ4
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「なっ……！」
私の言葉に、泉鏡花の隣にいた白髪の少年は動揺を露にした。彼からもほんのりと、罪の匂いがした。
私は眼鏡の人に目を向ける。
「逮捕してください。35人殺しです」
眼鏡の男性は気まずそうに私から視線を逸らす。
私は近くにいた包帯を巻いた男性に視線を移した。彼にはハッキリとした“罪の色”が見えた。罪人の色。泉鏡花と同じ、人殺しの色。
「何故逮捕しないのですか」
「きょ、鏡花ちゃんは探偵社員だから……！
あ、あなたは知らないかもしれないけどヨコハマの街を救ったのは鏡花ちゃんなんだ……！」
「私の両親を殺したのもまた、泉鏡花ですが」
少年は言葉に詰まったようだった。
ヨコハマを救った？それがなんだ。
街を救った。それだけで罪が帳消しにされるのか。彼女は街を救ったから両親を殺害した殺人者を許せ。そう云われてしまうのか。そんな事を、残された遺族が受け入れられるはず、ないのに。
「35人。35人もの命が泉鏡花の手によって失われたのに、貴方たちは泉鏡花を庇うのですか」
武装探偵社は、正義の探偵社ではなかったのか。
私はソファから立ち上がる。
せめて何か出来きませんかと、眼鏡の人が申し出る。
「私が望むのは、彼女が裁かれることだけです」
「……っ、それは……」
「ねえ、何故黙っているの」
私は押し黙る泉鏡花に目を向ける。
「あなたが殺した私の両親、覚えてる？
あなたが親を殺した日、その日は私の誕生日だった」
お母さんが作ってくれたご馳走を食べて、お父さんが買ってくれたプレゼントを開封するはずだったの。
探偵社が静まり返る。
泉鏡花の隣にいた白髪の少年が口元を押さえた。
「ねぇ、返してよ。私の家族を」
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