漆話 ページ9
「あ、あの、不死川さん」
「アァ?」
「ひいぃぃぃ……すみません」
しのぶちゃんに言われてから、嫌々ながらも任務に向かった。不死川さんと一緒に。正直怖すぎてもう帰りたいです。
「まだ何にもしてねェだろォ」
どうした、と溜息を吐きながら聞いてくる不死川さん。
(意外とこういう所はちゃんとしてるっていうか、優しいんだよなあ。)
後はその瞳孔が開ききった目とか、胸元の開ききったボタンとかを直してくれれば、隣を歩く時に震えを抑えることくらいは出来るんだけれど。私の中では胸元のボタンを開けている人=不良(蜜璃ちゃんを除く)なんです許して。
ずっとこのまま怯えているわけにもいかないので、隣を歩く不死川さんに話を続ける。
「いや、あの、1つ気になったことがあって……
私達柱の合同任務ということは相当強力な鬼、まあ、もう既に鬼殺隊士を初め多くの被害は出ているんですけれど。
それにしても気配が無さすぎじゃないですか?」
「……あァ」
もう日は暮れ始めている。鬼が活動を始めてもいい頃合だ。それに、確かに言われた町はここで合っているはず。
それなのに、全くといって鬼の気配がないのだ。それどころか町の賑わいも普通のそれと変わりない。もう何人もの人が行方不明となっているのに、この賑わいは可笑しい。
「ここまで気配を消せるとしたら上弦くらいでしょうけど、それでもこの町の雰囲気は可笑しすぎます。
あの、不死川さん、これってもしかして……」
「縁起でもねェこと言うな。
まあ、そうじゃなくとも調べる必要はありそうだな。
幽門、お前は町の奴らを調べろ。俺は町の周辺をもう1回見てくる」
その言葉に頷いて、不死川さんと別れた。
もう少しで完全に日が暮れてしまう。その前に鬼の居場所を突き止めなくては。
取り敢えず検討もつかないので、近くにあった酒屋に入ることにした。
・
誤解しているかもしれないので、1度説明しよう。
声の大きさと存在感が破滅的な私が人に声を掛ける事なんてできるの!?なんて思ったみなさん、安心してください。出来ません。
私の場合、調べる、というのはすなわち潜入調査的なことにあたる。頭の回る鬼などは特に鬼狩りが来たとなると姿を現さない。そのような時に私の気配の薄さを利用して、場所を突き止めることが出来るのだ。この時ばかりはこの気配の薄さに感謝である。
(にしてもまあ……)
酒屋の陰から中の様子を見る。一見普通の酒屋だが、どこが血生臭い。
(当たっちゃった、かもしれないな)
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あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます! (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ!!!!、!!!!続きが気になる!!!!!更新頑張ってください!!!!応援しています! (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぶらげα | 作成日時:2019年9月22日 14時