参話 ページ5
はっと目を覚ますと私の屋敷とは違う天井。ベッドの上に寝かされているのを見て、ここが蝶屋敷だと理解する。
外を見るともう大分暗くなっている。あそこで気を失ってから、誰かが運んでくれたのだろう。この様子だと会議も終わっているだろうな。
(おでんを詰まらせて気を失う柱とかなんだ、恥ずかしすぎる)
正直このまま一生眠り続けたいけれどそういうわけにも行かない。誰かに声掛けて帰ろう。
ちょうど部屋の中で片付けをしている蝶屋敷の女の子を見つけ、声を掛ける。
「あの……」
「よし、ここはもう大丈夫ね!!」
私の声に気が付かず、そのまま部屋を出ていく女の子。
…………うん、知ってた!!
何でこんなにも気づかれないのだろうか。今回に限っては部屋に私しかいないのに、それで気づかないとかある!?
最早これは鬼殺隊全員で嫌がらせに来てるんじゃないだろうか。そんなことは無いと願いたいけれど。
もうどうすることも出来なくてベットの上でゴロゴロしていると、ドアが開く音と共に誰かが入ってきたのが分かった。これは――
「Aさん、どうやら目が覚めたようですね」
「しのぶちゃんんんん…」
蟲柱 胡蝶しのぶ、この屋敷の持ち主である。
「もう、心配しましたよ。あそこで不死川さんが気づかなかったら、貴女今頃三途の川渡っている所でしたよ。」
「えぇ…そんなに危ない状況だったの、私」
「ええ、そりゃもう。貴女も一応柱なんですから行動には気をつけてください」
呆れたようにため息を吐きながら言うしのぶちゃん。
面目ない。穴があったら突っ込みたいです。
「あのとき一応叫んだんだけどな」
「貴女とんでもなく声小さいですものね。今ここで話していてもよく聞こえないんですよ。
存在感も無いですし、隊士の中で『おばけちゃん』なんて呼ばれてると聞いた時には思わず笑っちゃいました」
「うぅ……返す言葉もないです」
何時にもまして毒舌を浴びせてくるしのぶちゃん。
そうなのだ。私は声の小ささと存在感の薄さも相まって早速都市伝説とかしている。柱を見たことがない隊士だって少なくはないし、私の存在を知っている隊士は極少数なのだ。
別に噂されるのはいいけれど、おばけ扱いされるのは心外である。
もう遅いということで、今日はここに泊まらせてもらえることになった。有難い。
「あと不死川さんにもお礼言っておいてくださいね。一応命の恩人ですから」
部屋を出る時、笑顔でそう言うしのぶちゃん。
(切実に嫌なんだけど)
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あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます! (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ!!!!、!!!!続きが気になる!!!!!更新頑張ってください!!!!応援しています! (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぶらげα | 作成日時:2019年9月22日 14時