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拾捌話 ページ21

(いやいや待って。こんなことってある……?)




ーー時は夕刻。どこか洋風な列車の中、近接車両から聞こえてくる話し声、というか「うまい」なんていう大声に思わず溜め息が出る。






皆さんお分かりの通り、隣の車両には炎柱の煉獄さんと、おそらく他数名の隊士がいる。さらには、先程からビンビンと感じるこの列車の不穏な雰囲気。



ーー間違いない。この列車の中には、“鬼”がいる。



「…………はぁ」



(これじゃあ約束は守れそうにないな。ごめんね蜜璃ちゃんんん)



私は今回、任務でこの“無限列車”に乗ったわけではない。いや、任務のためにこの列車を利用しているのは事実だが、この列車内での任務は知らされていない。



(蜜璃ちゃんと甘味屋行くの、久しぶりだったんだけどな)



今日は少し遠方での任務で、折角だからこの列車を利用させてもらったわけだがまさかこんなことになろうとは。任務が終わったあとに同じく近くで任務にあたっている蜜璃ちゃんと会う約束をしていたのだが、この様子だと無理そうだ。うーん、無念。



でも私も一応柱の身だ。鬼の気配を感じたならば、それに専念しなくては。



(一応煉獄さんと連携を……いや、いいか)




この間のおでん屋でのことは忘れていません。



あの日私は柱としてあらぬ失態をおかしただけでなく、あろうことかおでんまで満足に食べられなかったのである。因みに、そのおでん屋にはまだ行けていない。



失態はまあ常日頃からおかしているからまだいいが、おでんは別である。食べ物の恨みは恐ろしいのだぞ。煉獄さんホント許すまじ。





「切符…拝見…致します……」



「え、あ、はい」



先日の恨みをふつふつと募らせていると、すうっと私の座席にやってきた車掌さんにおずおずと切符を差し出す。



(普段は気づかれないから自分からいくのに、珍しいこともあるものだな)




仕事といえど、気づかれたのは嬉しい。嬉々としながら車掌さんに渡った切符をみていると、その一瞬、車掌さんから微かに不穏な気配がする。




(なんだ、この嫌な気配。まるで“鬼”のようなーー)








ーーーーパチン









切符を切る音が、耳の奥でいやによく響いた。

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あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます! (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ!!!!、!!!!続きが気になる!!!!!更新頑張ってください!!!!応援しています! (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あぶらげα | 作成日時:2019年9月22日 14時

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