拾漆話 ページ20
「あの、伊之助くん。これ、食べる?」
懐に大量に入っている饅頭の中から一つを取り出し、そっと伊之助くんの前に差し出す。
安易すぎるって?ごめんなさいね、こんな経験無さ過ぎてこれくらいしか思いつかなかったんですよ!?あと、伊之助くんが小動物かなにかの様に見えたっていう理由が無いわけでもないです。ごめんな伊之助くん。
伊之助くんは目の前に差し出された饅頭に初めは警戒していたものの、目の前の美味しそうな菓子には逆らえなかったらしく、そうっと手を伸ばした。
「……うめえ」
ぼそっと呟かれ伊之助くんの言葉に思わず頬が緩む。猪の頭は被ったままだから警戒は解けてないんだろうけど、それでも嬉しい。
(そうでしょうそうでしょう!なんていったってその饅頭は蜜璃ちゃんイチオシの甘味屋のものだからね!)
蜜璃ちゃんにいつ会っても渡せるようにと買いだめていたのが思わぬところで役に立った。ちょっとお高めだったけど、たくさん買っておいてよかったな。
伊之助くんは少し大きめな饅頭をあっという間に口に入れるともきゅもきゅと頬張りながら、もっとくれ、と言うかのように私に手を差し出してきた。
(か、かわ……!)
伊之助は饅頭が気に入ったんだな、とにこにことその様子を見守っている竈門兄妹に俺だって1個しか貰ってないんだぞ、と伊之助くんを咎める我妻くん。
なんなのもう、4人ともほんと癒し。竈門兄妹はその友達まで可愛いのか。歳は3つ4つくらいしか違わないはずなのになんなんだろうこの違い。もうどんどん饅頭あげちゃう。なんなら全部あげちゃう。
・
「またお会いしましょう!」
笑顔で見送ってくれた3人と大層気に入ってくれた饅頭を食べ続けている伊之助くんを背に屋敷を出る。
あの後、5人で少しお喋り、というか饅頭を食べあった。伊之助くんは相変わらず猪の頭を被ったままだったけれど。次会ったときは是非お顔を拝見したい。
竈門兄妹はもちろんのこと、我妻くんも伊之助くんも個性的ながら可愛かったです、はい。散々気持ち悪いって思ってしまってごめんね我妻くん。
足取り軽く、屋敷までの道を歩く。
(そうだ、また饅頭買い足してこなきゃ)
ああ、楽しみが増えてしまったな。
1022人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます! (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ!!!!、!!!!続きが気になる!!!!!更新頑張ってください!!!!応援しています! (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あぶらげα | 作成日時:2019年9月22日 14時