拾陸話 ページ19
「あ、あの!!Aさんはお好きな物とかあるんですか!?」
「え、えーとなんだろう。おでん、かな」
「おでん!可愛い!!!」
(おでんが可愛いってなんだ)
目の前でデレデレと話している金髪少年は、我妻善逸くん。ごめんなさい、正直言って怖いです。特にその鼻息とか。ほんとごめん。
なんでも我妻くんは炭治郎くんの同期らしくて、聴覚に優れているらしい。なのでどこにいても見つけられますよ!!なんてふんすふんすと言ってくれるのが嬉しくて、思わず饅頭を渡してしまった。不可抗力です。
4人で暫く話していると、またもや部屋の入り口から気配を感じ、視線を向ける。
(うわ、猪!?)
猪の頭を被っている男の子であろう人が、扉にしがみついてこっちを見ている。普段の私なら発狂ものだが、猪くんの震えがそりゃもう尋常ではないのでなんとか叫ばずに済んだ。自分より緊張している人がいると逆に落ち着くみたいなやつです。分かって。
それはそうとこのまま見過ごすわけにもいかないので、2人に尋ねる。
「炭治郎くん、我妻くん。あの扉にしがみついてる子って、2人の知り合い?」
私の問いに合わせて2人の視線が扉の方へ向き、驚いたように顔をしかめた。
「伊之助!?何してるんだそこで」
慌てたように猪くんの方へ駆け寄る炭治郎くん。なるほど、あの子の名前は伊之助っていうのか。
炭治郎くんに問われた伊之助くんは恐る恐る私の方に指を向ける。私と目(なのか分からないが)が合うと、ビクッと肩を震わせた。
(そんなに驚かなくても......って、もしかして普段の私ってあんな感じ!?
だとしたら相当やばくないか、大丈夫か私)
なんてずれた事を考えていると、伊之助くんはそっと口を開いた。
「紋次郎、あいつ全然気配を感じねぇ。人じゃねぇよ......」
(ぐはぁ!待って直接言われるとダメージが......)
「なんてこと言うんだ伊之助!!」
この人は霊柱の幽門Aさんだ、なんて怒ったように言う炭治郎くん。それにつられて我妻くんも伊之助くんの方に詰め寄る。
「そうだぞ猪!!Aさんはこんなにも可愛らしくて優しくていい匂いがするんだぞ!!
......ぐふふ」
まってごめん我妻くん、今のは気持ち悪かった。ごめんなさい。
2人にそう言われるものの、今度は炭治郎くんの後ろにしがみついて離れない伊之助くん。あ、ちょっと可愛い。顔は猪だけど。
それにしても、こんなに怯えられるのはあまり気持ちいいものじゃない。
(さて、どうしたものか)
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あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます! (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ!!!!、!!!!続きが気になる!!!!!更新頑張ってください!!!!応援しています! (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぶらげα | 作成日時:2019年9月22日 14時