拾肆話 ページ17
(いや、それでもなあ。ホントに誰に聞いたんだろう)
昨日の今日だし、不死川さんから話を聞いたのだろうか。いや、それともしのぶちゃんか。
そこでふと、念のためといって連れられた蝶屋敷のことを思い出す。心配してくれていたのだろうけど、そこでのしのぶちゃんがまあ怖かった。ほんと鬼に見えた。それでも美しいのに変わりはないけれど、不死川さんも冷や汗浮かべてたもの。
昨日のことを思い出して身震いするとまた冨岡さんが口を開く。
「俺は、幽門のその生き方、戦いに誇りを持っていいと思う」
相変わらず話の展開が唐突過ぎて理解に時間がかかる。それでも、私のことを本当に心配してくれたのだとすぐに分かった。
なんだか照れ臭くなって、失礼だとは思いながらも残りの大根をつまみながら話し始める。
「はい、あの、不死川さんにも同じことを言われまして。
そこで改めて分かりました。私はもう今までの自分を信じて進んでいくしかないのだと、この鬼殺隊を、お館様を、そして皆の幸せを守り続けるために戦い続けるしかないのだと」
人に言われて初めて気がつくなんて、柱としてどうかとも思いますけどね、と付け足して笑う。
黙って耳を傾けてくれている冨岡さんに話をつづけた。そこでふと思い出す。
「あ、そうだ不死川さん。私あの人と初めて合同任務を行ったんですけど、色々と誤解してたみたいです。確かに姿素行は怖いけれど、とても優しい人でした。
それにね、甘いものを食べている時の不死川さん、とても幸せそうな顔をするんですよ。なんだか新しい一面を見れて、少しですけど、仲良くなれたような気がします」
昨日の不死川さんを思い出して、ほくほくした気持ちになりながら大根を頬張る。
冨岡さんはそんな私を暫く見た後、唐突に言う。
「Aは、不死川のこと慕っているのか」
「ゴフッ、ゲホッ」
(何言ってるのこの人ー！？)
冨岡さんの衝撃的な発言に大根を詰まらせる。なんだろうすごい既視感。
「大丈夫か」
(いや、あなたのせいですけどね！？)
何て言うことはできないので、大人しく差し出されたお茶を飲む。
「ケホ......お慕いではないですけど、尊敬はしていますよ。柱としても、人としても。
いや、あの、それは冨岡さんもそうです。こうやって誘っていただいて、いつも嬉しいです」
そう言うとふっと笑って、そうか、と言った冨岡さん。
(あれ...？)
冨岡さんがご飯以外で笑ったの、初めて見た。
――冨岡さんの新たな一面を知れた、ある昼の話。
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あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます！更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (
レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます！ (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ！！！！、！！！！続きが気になる！！！！！更新頑張ってください！！！！応援しています！ (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あぶらげα | 作成日時：2019年9月22日 14時
