おいで、恋愛しようか『LIP×LIP短編集』

ロメオ ページ8

「......姫？」




彼の動きが止まった



ほら、ほら、それ





「.......今だって私のこと姫って言ったでしょ？」








分かってる。




私は姫だから、彼は私をそう呼ばないといけないこと





自分の勝手な我が儘だってこと






でも、それでもね








「.........私.....結婚するなら、『私』を見てくれる人としたいな....なんて」






頬をかいた




こんなの彼に失礼だ。遥々東の国から会いに来てくれたというのに、こんな断り方.......





彼はうつ向いており、表情が見えない





「.......ごめんなさい。私....いきますね！」






踵を返し、少しかかとの痛くなった足を動かしながらゆっくり歩いた





ごめんなさいごめんなさい







私なんかよりもっといい人を______







「........っ.......わ！？」




腕を掴まれ、傾いた視界に入ってきたのは天井と彼






「......！」






床が迫ってきたその時、待ち構えていたかのように彼に包みこまれた。と思ったあっという間に力強く抱き締められた



全身が金縛りにあったかのように動かなくなる





「.....あ.....の....？...」







突然のことに戸惑っていると。か細いようで、でもしっかりした声が降り注ぐ







「俺は......君に惚れたんだよ」



「覚えてないかもだけど、俺達は昔よく会う仲だった」





「あのときからお前の笑顔が離れなくて..............会いたくて」









「ちゃんと大好きだよ.........A」









目を見開いた







いつか来るのかなって。私を愛してくれるひと






でも、今まで現れなくて









今、ここにその人が居る_________









「........あ.....いぞ....？」









彼は泣きそうな顔で、笑った

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