おいで、恋愛しようか『LIP×LIP短編集』

チョコレートメルト。『勇次郎』 ページ27

悠長に考えていると足音が聞こえてきた






肩がﾋﾞｸｯと跳ねる


深呼吸して、心臓が落ち着かせて、気付くと足音がすぐそこで聞こえてきたので壁から弾かれるように飛び出す









「っ....せ、せせ先輩！.......こ、これ....作ったので！」



目をｷﾞｭｯと閉じて腕をつきだす






一秒、一秒と無言の時間が過ぎていくことに違和感を覚えた





「.....せんぱい...？」



あ、もしかして引かれた...？
恐る恐る目を開いてみると









「......え......誰....？」









！！！！！！！！





目の前にいたのは先輩ではなく知らない男子生徒だった







顔に思いっきり熱が上る






「あっ..ひ、人違いしました！すみません...！！！！」








頭を下げると「気を付けてねー？」と去っていくその人



優しい人でよかったぁ....





ふう、と熱くなった頬に手を当てると。「くく......」という笑い声が聞こえてきた








え、この声...






「.......先輩！？.....い、いつからそこに！？」





最初から、と答えた先にはクスクス笑う染谷先輩がいた



ひどい、ずっと見てたの....！？









「...〜！！.....もう！先輩のばか！！」





ふい、と踵を返して教室に向かうと









「待ってよ」




腕を捕まれて、抱き締められる
振り払う、なんて無理だ








「あー、可愛い」



「.........もう、やめてくださいよ」








思わず手元の箱をｷﾞｭｯと握るとそれに目をつけた先輩







「ふーん、それ僕に？」



パッ、と取られてそれをまじまじと見つめられる



「はい......」






恥ずかしい、こんな渡し方になるなんて....


涙が浮かんできてｷﾞｭﾂと目を閉じると






唇に暖かいものが触れた









「ん.....！？」




こんなの私でも分かる、キスだ



「んん......ふ....んぅ.....」








お互いの唇がぬるく濡れて滑る感覚と柔らかい唇に包まれるように角度を変えられている感覚。それらに頭がクラクラしていた





暫く彼は私の唇を遊ぶように優しく舐めて、噛んで、すべらかに唇を這わせる



音がやけに響くので比例するように体温が上昇した







は。
という短い声が響いて銀色の糸が先輩と私を繋ぐ



それを舐めて切る妖艶な顔の彼に、思考という思考がぶっ飛んでいく







「ねえ、好き
好きだよA」







数秒のことなのにすっかり頭を溶かされた私はぼやける視界で先輩を見つめた









彼はｸｽｯと笑うとまた私の唇を塞いで、口をこじ開けると





熱い熱い舌が、入ってきた

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