期末試験 ページ50
◇
無事、期末試験が終了し、テストが全て返却されると、音駒バレー部に赤点はなし！！
わーいわーいとみんなで肩を組んで盛り上がり、部活の後に打ち上げに行こう！なんて話になる。
その間、ずっとだるそうに肩を組まれる研磨を見て爆笑していると、よくやったなお前ら〜！と夜久が後輩たちを一人一人撫で回して行った。
「Aさん！約束通りご褒美ください！！」
よく覚えてたなと目ざといリエーフに何がいいか聞けば、すごく悩む素振りを見せて、アイス食べたいです！と可愛く笑う。
じゃあ走と球彦、優生にもご褒美に買ってあげるねと言えば、ヤッター！と三人は素直に喜んだ。
「ただし、ガリガリくんのソーダ味限定！」
「ケチか」
「じゃあやっくん、私にハーゲンダッツ買ってよ」
でっかいレディボーデンでもいいよと夜久に冗談で言うと、仕方ねぇなとあっさり了承してくれる。
え、なんで？いつもならピチピチ怒り出すじゃん…と混乱していると、Aおつかれと海も私を労い、黒尾もアイス1個でいいのかとニヤニヤ聞いてくる。
海はいつも優しいが、黒尾と夜久の純粋な優しさに怖がっていると、黒尾が周りに聞こえないように私の耳元に手を添える。
「俺たちが行けない時も
こそこそ1、2年に勉強教えに行ってたろ」
バレてたのかと驚いて目を開いていると、Aのおかげで二年の成績も底上げされてるしと海が二年三人を指し、それに気づいた虎が興奮した様子でこちらに向かって走ってきた。
「Aさん…！
お、俺…ついに50点の壁を越えました！」
福永も古典で100点とったらしいし、孤爪も80点3教科でとったってよと教えてくれる海は、本当に凄いよと言って嬉しそうに拍手する。
「…みんなが頑張った結果だね」
この一ヶ月間、本当にみんな頑張って勉強したからと、嬉しくてひとり笑みを零していれば、急に夜久が私の頭を犬みたいに強く撫で回した。
いたたたたと、ぐっちゃぐちゃになったポニーテールを解いて顔を上げれば、黒尾と海、夜久がすごく優しい表情で私を見ていた。
「ありがとな、A」
さすがうちの敏腕マネージャーだ。よっ天才！なんて、矢継ぎ早煽ててくる三人に、今回ばかりは煽てられてやろうと、まあねとにっこり笑って答えた。
・
次の日、バレー部の成績アップを聞きつけた他部活の主将が、黒尾の教室に押しかけて大変だったらしい。
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
