期末試験 ページ48
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「あっれぇ？もしかして数学苦手なのぉ？」
私が数学で赤点をとったことがあるくらい苦手なことを知っているくせに、こんなときですらしっかり煽ってくる黒尾。
そんな黒尾を腹立たしく思いながら、私の周りで一番数学が得意なのは黒尾なため、仕方なくお願いしますとボソボソと頼み込む。
「じゃ、また俺ん家来いよ」
「え、いいの！」
以前は私が黒尾に英語を教えるために家にあげてもらったことがあり、お邪魔してばっかりじゃ悪くない？と声をかけると、むしろ来てくれるならそっちのが楽でいいと言う。
「じゃあ、分からない問題まとめて
午前練終わったらそのまま行けるようにするね」
「おう」
「って、いやいやいや！？」
君らいつそんなに発展したのかな？？とツッコんでくる渡辺とかな。
私と黒尾の会話を聞いて、普通の高校生の男女は付き合ってないやつを家に呼ばないし、2人きりでとかまずないから！と注意される。
確かに…と納得する反面、徹やはじめとならいいのか…？いやでも黒尾も友達だからいいんじゃないかと一人心の中で自問自答を繰り返す。
「…まぁ、こいつだし」
ははっと自嘲する黒尾が、もう慣れましたと二人に言うと、渡辺とかなはどんまいと言って黒尾の肩に手を置いた。
◇
土曜日。
部活が終わった後、研磨と黒尾と同じ駅で降り、黒尾の隣のお家に入って行く研磨にばいばいと手を振りながら、私は黒尾家にお邪魔する。
いつも通りリビングの大きな机に教科書とノート、参考書をお互いに目一杯広げ合い、最初に分からない問題を黒尾に解説してもらった後、私はもう一度問題を解いてみる。
黒尾の教え方が上手な分、私もスラスラ問題が解けるようになり、応用も今日中に教えて貰えるかななんて考えていると、ふと渡辺たちの言葉を思い出す。
高校生にもなると、付き合ってもない異性は家に上げないし、2人きりとかありえないのか。
「…」
「わかんないとこでもあったか？」
どこと反対側から身を乗り出してくる黒尾に、黒尾はどう思っているんだろうとじっと見つめていると、ふと視線を上げた黒尾とかちりと目が合う。
「黒尾って彼女作んないの？」
「は、」
なんだよ急にと驚いたようにストンと腰を下ろす黒尾に、かなと渡辺が言ってたじゃんと数日前に教室で繰り広げた話題を掘り返した。
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
