期末試験 ページ47
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「ここ、見落としやすいから注意してね」
「はっはい！」
わかりやすっ！と立ち上がって驚く虎に、受験生舐めんなよ〜と虎を屈ませてモヒカンをガシガシ撫でる。
「あ！猛虎さんだけずるい！」
「リエーフもちゃんと勉強できたらね」
赤点回避したら何かご褒美あげるよと笑えば、わかりやすくやる気を出すリエーフ。
きちんと勉強をする皆を見回し、全員がしっかりと勉強しているのを確認した私は、集中して自分の勉強にとりかかった。
◇
そんなことを繰り返しているうちに、定期テストまで残り二週間を切った。
他の部活はテスト前は休みになるのだが、バレー部とサッカー部だけは大会が近いため、通常通り部活もある。
「さ、さすがに疲れた……」
朝起きて暗記科目の勉強、学校に来て授業の勉強、部活をやった後に後輩の勉強を見て、家に帰って模試の勉強。
授業間にある貴重な10分休みを使って、私は机の上に項垂れて体を回復させる。
次移動だよー！と声をかけてくれる友達に、2組寄るから先に行っててと声をかけると、また忘れ物なんて笑われる。
今日は教科書だよと最近恒例の忘れ物の紹介をすれば、多すぎるよとさすがに引かれてしまった。
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「かな…教科書貸して」
「またぁ！？」
とぼとぼ2組の教室に入ると、かなと渡辺が二人で話していて、ここ二週間、高確率で出現する私に驚いた様子で声を上げる。
「お、黒尾じゃんどしたー」
「渡辺ｸﾝ、体操着貸して」
「お前もか」
たまたま黒尾と渡辺が貸し借りする現場を横で見ていた私は、渡辺の体操着着れんの？と脳死で黒尾に聞くと、ボクが太っているって言いたいんですかぁ！？と雷に打たれたような顔をする。
つんつるてんになるかなって想像して一人で笑っていると、なんで隣のクラスの子がいるんだと私を指さして聞いてきた。
「私も忘れ物をしてしまいまして」
「A、あったよー」
ほいと教科書を私の手に載せてくれるかなに、ありがとうと深々に頭を下げてお礼を言うと、たまたまかなの机の上に置かれた数学の教科書を見て、黒尾に話したいことを思い出す。
「あの、黒尾...サン。数学を教えてください」
そう私が渋々頼み込むと、何とも嬉しそうな顔をした黒尾が、煽る準備万端といった様子でこちらを見た。
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
