進路 ページ37
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「いつも馬鹿ばっかやってるけど、アイツ頭いいんだよ」
同じく察していたらしい夜久は黙って俯き、リエーフは混乱した表情で、Aさんって頭いいんですか…？！と心底驚いたように目を開く。
「英語に至っては毎回学年1位だし、
Aの成績なら推薦もとれるんじゃないかな」
「そゆこと」
だから先生たちから見ても、Aはマネージャー続けるより、勉強に専念してもらった方が良いってこと。と俺が説明すると、芝山と犬岡がそんな…と小さく声を漏らす。
「まぁ辞めないとは言ってたけど
もし辞めたいって言っても俺はとめな」
「嫌です！！」
みんなで応援してやろうぜ！とAの応援のために話したつもりが、途中ででっかいリエーフの声に遮ぎられ、俺は思わず口を閉じる。
「Aさん！！一緒に春高行くって言いました！！」
「…」
俺だって続けて欲しいに決まってる。
なぜ引き止めないのかと責められても、冷たいと部員から思われても、アイツのことを知っているからこそ引き止めることができない。
絶対に部活には残る。全国の景色見なきゃ！とAはいつも明るく笑うが、昼休みにたまたま二人で図書館の前を通りかかると、Aは思い詰めた表情で中を見つめていた。
「…気持ちはわかるけど、
Aが部活やめたいって言っても責めないでやれよ」
不服そうな顔をする部員を尻目にそう言い残した俺は、さっさとタオルを持って部室を出た。
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
