第五波 ページ6
階段を上っていく大石の背中を、高田は柱の陰からじっと見ていた。
先程大石が片岡に話していた記憶。
間違いなく、高田がよく見るあの”夢”だった。
自分も片岡に相談したのだが、ずっと前の事だ。もう忘れているだろう。
…大尉。自分は、自分は!
一歩踏み出してそのまま固まる。
話したいのに、この足と口は動いてくれない。まるで、その記憶を拒否しているように。
「高田?其処で何をしてるんだ?」
唐突に後ろから降りかかった声に思わず跳ね上がる。精悍な顔立ちで、いかにも曹長、という雰囲気を醸し出している彼の名は、堀部安兵衛。
「堀部曹長。…いや、何でもないです。ただ少し考え事をしていて」
言い終わった瞬間、高田の胸は後悔の念に襲われた。何でもない、で切ればよかったと。
堀部の眉が歪んだ。
「考え事とは?」
やはり面倒な事になってしまった。
さて、どう逃げるか。
「いやその…例の養子の件でして」
「この間話していたあれか。どうなった?」
「まだ…はっきりした返事はしていません。」
俯き加減に言うと、堀部は「そうか」と顎に手を添えた。
ふと目線を上げると堀部の横顔。昔も今も、篤実な所、勇猛果敢な所は変わらない。
「まぁ決めるのは貴様だからな。…そういえば、書類まとめは済んだか?」
「一日で目を通せる量じゃ無いですよ、あれは」
「随分大変な仕事任されたもんだな。それだけ信頼されてるって事だ」
「えぇぇ…もう目が限界です」
「昇進するかもしれないぞ」
「今日中に終わらせます」
けろりと態度が変わり、限界だった目を輝かせ無謀な計画を口にする高田に、堀部は堪らず笑った。
そして頑張れよ、と高田の肩を叩くと、そのまま去っていった。
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嵩画鯉城@トラ!トラ!トラ!(プロフ) - 月読命さん» ありがとうございます(o^^o) そうなんですね〜、死後百年ですか…この小説の舞台は若干微妙な年代なので、その辺り気を付けて書いていこうと思います。 (2017年10月6日 18時) (レス) id: 3ce9c05f06 (このIDを非表示/違反報告)
月読命 - 更新がんばってください!ちなみに歴史上の人物の場合、死後およそ100年で名前をかってに使われない権利みたいなのが消えるみたいです。 (2017年10月2日 20時) (レス) id: 3990fcd378 (このIDを非表示/違反報告)
蘭秀@ニイタカヤマノボレ(プロフ) - あんこ(ろ)餅さん» コメントありがとうございます。歴史上の人物を使用する場合はオリフラを外す必要はない、と聞いたのですが…。ちなみにww2の内容については実在する団体は一切使用しておりません。 (2017年6月19日 7時) (レス) id: c435ca72cc (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(ろ)餅 - これはオリジナルですか?実在する団体などを使用してる場合はオリジナルフラグを外してくださいね (2017年6月19日 7時) (レス) id: db0d61df1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭秀、鯉城 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年6月11日 19時