検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:6,555 hit

第十九波 ページ20

「おう、高田か。凄い量の書類と本だな…」
「は、上の階に持っていくものであります」
「そうか。大変だなぁ」
「いやぁ…解散でそれどころではないですが、休暇が欲しいです」

休暇か、と大石は思わず笑みをこぼした。

「最後の休暇は近松と居酒屋だったよ」
「近松曹長殿ですね。」
「ああ。まぁ、その後あの盧溝橋の報が入ってすぐに退散したわけだが」
「そうだったのですか…自分は意外と最近ですね。解散前に一度。泉岳寺という寺に行ったんですよ」

寺、この男が。意外な事に少々驚いて目を丸くする。仏閣巡りや朱印巡りが趣味なのか__と問い掛けて、大石は一旦喉の奥にそれを押し込んだ。
…泉岳寺。__泉岳寺。
いとも簡単に変換される漢字。漢字を聞いたわけではないのだが、「これで合っている」という変な自信が湧いてくる。

「大石大尉も行かれたので?」
「うーむ…それがようわからんのだ。行った事がある…のかも知れんが、いつだったかは思い出せない」
「成る程。…自分は、ある人達の墓を探していて訪れたのですが、どうやら記憶違いだったようで。諦めて帰ったのです」
「無かったのか」
「ええ…だから、今の状況がよけいに不思議で…」
「は?」
「え、あ、いや…独り言であります。お気になさらず」

高田はやってしまった、という表情を浮かべたが、それを即席の笑みで上書きした。
やがて部屋に着くと、高田は上書きの笑顔のまま大石から逃れるようにそそくさと入っていった。

第二十波→←第十八波



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
設定タグ:忠臣蔵 , WW2 , 合作
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

嵩画鯉城@トラ!トラ!トラ!(プロフ) - 月読命さん» ありがとうございます(o^^o) そうなんですね〜、死後百年ですか…この小説の舞台は若干微妙な年代なので、その辺り気を付けて書いていこうと思います。 (2017年10月6日 18時) (レス) id: 3ce9c05f06 (このIDを非表示/違反報告)
月読命 - 更新がんばってください!ちなみに歴史上の人物の場合、死後およそ100年で名前をかってに使われない権利みたいなのが消えるみたいです。 (2017年10月2日 20時) (レス) id: 3990fcd378 (このIDを非表示/違反報告)
蘭秀@ニイタカヤマノボレ(プロフ) - あんこ(ろ)餅さん» コメントありがとうございます。歴史上の人物を使用する場合はオリフラを外す必要はない、と聞いたのですが…。ちなみにww2の内容については実在する団体は一切使用しておりません。 (2017年6月19日 7時) (レス) id: c435ca72cc (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(ろ)餅 - これはオリジナルですか?実在する団体などを使用してる場合はオリジナルフラグを外してくださいね (2017年6月19日 7時) (レス) id: db0d61df1d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蘭秀、鯉城 x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年6月11日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。