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慎side






首にかけられたタオルを取って
彼女の手を引き、ベットへと座らせた


肩に垂れた綺麗な髪から、水分を拭き取る


ドライヤーを下から持って来ていたA








慎「乾かして来なかったの?」


「うん、慎に乾かしてもらいたいなーって」


慎「…ふーん」









無意識だろうけど、俺を頼る一言が嬉しい


ニヤけそうになったのを落ち着かせ


ドライヤーでAの髪の毛に風を当てると


擽ったそうに肩をすくめた









「まこと〜」


慎「ん?」









乾きかけの髪の毛に風を通す手を休め
ドライヤーを置いて聞き返すと


後ろを振り返って、座り直したA









「慎、連れて来てくれてありがとう」


慎「…全然」


「嬉しかったな、お父さんとお母さんが、あんな風に思ってくれてて…」









夕食時を思い出しながら笑顔を見せるA


…気付いたら彼女を引き寄せて、抱き締めていた









「…どうしたの?」


慎「…ううん」









ぎゅう、と抱き締めて身体を離すと、化粧をしていないあどけない表情の彼女の瞳が俺を映し出した









慎「…A
空の上に人は行くと思うかって聞いたじゃん?」


「…うん」


慎「俺は、行くと思う」


「…何で?」


慎「空ってさ、毎日違う色してるでしょ?
雲の形も違って、量も違う。太陽が綺麗に出てる時もあれば、雨が降る時もある」


「うん…」


慎「…俺はそれを、大切な人を空から見る時の、空に居る人の表情だって思ってる」









毎日変わりゆく空を見ていると
ふとそんな風に思い始めた事


誰かに話した事はなかったけど


Aにだけは、伝えたかった


顔を下に向けたまま黙り込んでしまったAの頰に触れ、顔をあげようとすると








慎「…A?」


「…だめ、泣いちゃうから」


慎「…泣いていいんだって」









そう言うと、ゆっくりと顔をあげた


涙を流したAを、再び抱き締める








「…慎のせいで涙もろくなっちゃった」


慎「…泣き虫」


「……お父さんも、私の事見てくれてるかな?」


慎「当たり前」


「…そっか」


慎「きっとAが笑ってたら、
嬉しくて一緒に笑うよ、お父さんも」


「…ありがとう」








.







彼女が泣く時、笑う時、いつだって側に居たい


そう思えるのは、Aだけ




涙を拭い、笑顔を見せたAにキスを落とした


愛すべき彼女へ_





only one – fin –



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MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
- 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
- また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月10日 1時

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