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大きな手に優しく包まれ玄関を抜けると、目の前の背中が不意に止まってゴツンと頭をぶつける







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「いてっ」


慎「ごめん、大丈夫?」


「うん、平気平気…笑」









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繋がれた方の手と反対側の手でおでこをさすると、手首を掴まれて顔を覗き込まれた


腫れないといいんだけど…と呟きながら至近距離で見る慎には、相変わらずドキドキさせられるから


悟られまいと、平気だよと言って顔を逸らすと、今度は隣に並んでゆっくりと歩き出す









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慎「あの日も、無理やり手掴んで連れ出してさ」


「…え?」


慎「頭より先に身体が勝手に動いてた」


「…」


慎「Aの事思う回数が日に日に増えてって、自分でも毎日よくわからずに過ごして」









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いきなり話し始めた慎に戸惑った後、静かに話に耳を傾けると、手を繋いだまま、毎日歩いた海への道を、二人並んで歩いた







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慎「いつまでも素直になれなかったけど、でも」








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言葉を選びながら、丁寧に話す彼を見ようと顔を上げると、爽やかに微笑む慎がいた








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慎「初めて会った日からずっと、Aが好き」









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こんなにも真っ直ぐに愛を伝えてくれて


嬉しくない訳がない


胸の奥の方が
切なくもキュンと高鳴るのが分かった








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「やめてよ、恥ずかしいな…」


慎「最後の日なんだからいいじゃん」


「慎もそんな事言えたんだね」


慎「馬鹿にしてる?笑」


「してないよ〜?笑」


慎「…嘘だ笑」









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照れ隠しでそんな可愛くない事を言う私にも、慎は笑いかけてくれる


今、こうして笑顔で話せているのも


頼っていいんだって思わせてくれたのも


全部全部、慎のおかげなんだよ









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「やっぱり綺麗…」


慎「…でしょ」









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着いた先は、海


初めて此処へ来た時に、慎が見せてくれた景色


広い海は、月の光が照りつけ、風が表面を撫であげてキラキラと光り輝いている








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「ねぇ慎?」


慎「ん?」









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繋いだ手に想いを込めて、少しだけ強く手を握ると、慎はまた優しく握り返してくれた





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MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
- 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
- また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月10日 1時

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