79 ページ30
.
.
.
.
大きな手に優しく包まれ玄関を抜けると、目の前の背中が不意に止まってゴツンと頭をぶつける
.
「いてっ」
慎「ごめん、大丈夫?」
「うん、平気平気…笑」
.
繋がれた方の手と反対側の手でおでこをさすると、手首を掴まれて顔を覗き込まれた
腫れないといいんだけど…と呟きながら至近距離で見る慎には、相変わらずドキドキさせられるから
悟られまいと、平気だよと言って顔を逸らすと、今度は隣に並んでゆっくりと歩き出す
.
慎「あの日も、無理やり手掴んで連れ出してさ」
「…え?」
慎「頭より先に身体が勝手に動いてた」
「…」
慎「Aの事思う回数が日に日に増えてって、自分でも毎日よくわからずに過ごして」
.
いきなり話し始めた慎に戸惑った後、静かに話に耳を傾けると、手を繋いだまま、毎日歩いた海への道を、二人並んで歩いた
.
慎「いつまでも素直になれなかったけど、でも」
.
言葉を選びながら、丁寧に話す彼を見ようと顔を上げると、爽やかに微笑む慎がいた
.
慎「初めて会った日からずっと、Aが好き」
.
こんなにも真っ直ぐに愛を伝えてくれて
嬉しくない訳がない
胸の奥の方が
切なくもキュンと高鳴るのが分かった
.
「やめてよ、恥ずかしいな…」
慎「最後の日なんだからいいじゃん」
「慎もそんな事言えたんだね」
慎「馬鹿にしてる?笑」
「してないよ〜?笑」
慎「…嘘だ笑」
.
照れ隠しでそんな可愛くない事を言う私にも、慎は笑いかけてくれる
今、こうして笑顔で話せているのも
頼っていいんだって思わせてくれたのも
全部全部、慎のおかげなんだよ
.
「やっぱり綺麗…」
慎「…でしょ」
.
着いた先は、海
初めて此処へ来た時に、慎が見せてくれた景色
広い海は、月の光が照りつけ、風が表面を撫であげてキラキラと光り輝いている
.
「ねぇ慎?」
慎「ん?」
.
繋いだ手に想いを込めて、少しだけ強く手を握ると、慎はまた優しく握り返してくれた
.
.
1247人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
★ - また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蘭 | 作成日時:2018年9月10日 1時