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慎「…日、沈んだね」
頭をぽん、と撫でた後、すっかりと暗くなった空を見上げて、慎が小さな声で呟いた
「うん、沈んだね…」
慎「あ、見てA」
「わ!綺麗…」
緩やかな坂道を上って辿り着いた場所から見えるのは、京都で生活する人々の照明や、街路灯
明るくて派手なネオンじゃなくて、自然に作り出された夜景は、暖かく柔らかい光を放っている
触れるか、触れないかの距離で隣に立つ慎を横から見上げると、綺麗な横顔がキュッと胸を締め付けた
慎「…帰ろっか」
「…そうだね、帰ろう」
ずっと一緒に居たから、いざ気持ちを言葉にしてみると何だかくすぐったい
いつにも増して無口になってしまった慎の背中を見ながら歩くと、本当に想いが通じあった後なのかな?なんて思えてしまう
慎「ん、ほら」
「ん?」
慎「おいで?」
「…うん」
差し出された手を見て一瞬フリーズしてしまった私の手を取って、優しく引っ張って歩き出す
また、顔を覗き見ると、慎は少しだけ恥ずかしそうに口を結んで僅かにえくぼを見せていて
なんていうか、物凄く愛おしい…
「ねぇ、慎」
慎「ん」
「ちょっと…」
慎「どした?」
繋がれた手をキュッと引っ張ると、話しやすいように耳元をこちらへと寄せてくれて
そのまま、左の頰へ私から初めてキスを落とすと
慎「お…」
「…あ、え、へへ」
一瞬だけ動きが止まった慎は、身長を合わせたまま、空いている右手で私の後頭部へと手を回してぐいっと引き寄せる
「ね、待って…」
慎「Aが悪い」
「ここ、道路…」
慎「先に可愛い事してきたのどっち?」
「まっ…」
暗いと言えども、人が居ないと言えども、こんな公共の場で唇を重ね合わせているなんて
恥ずかしくて溶けてなくなりそう
誰かに見られたらどうする?
そんな考えが最初に浮かんだのに、段々と深くなっていく口付けに、目の前の色っぽく私の姿を確認する慎に、夢中になっている自分が居て
「…んっ」
慎「…腕、回ってきてるけど?」
「…うるさい」
慎「ふ笑 帰れないね?笑」
また満足そうにニヤっと笑うと
再び手を引いて歩き出した
旅館へ帰るまでの道のりも、いつでも紳士的で
同い年だっていうのに
慎にはドキドキさせられっぱなしだ
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MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
★ - また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2018年9月10日 1時