Fateプリキュア！NEXUS (ページ33)

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輝vs澪～自分のため誰かのため～欠片の記憶ページ33

七虹輝は、キュアスピアーがかつて同じ事を言っていたことも知らないだろうけど何がそんなに似てるというのか、知りたくなった。だから私は行く。

『行こう…澪の中へ』

きっと今回限りになるバディが声をかけてきた。

そうだな、そろそろ大きな攻撃が来る前に澪に近づかないと。
「よし、行くか…！」

地面に踏み込み俯いていた顔を上げると瞬時に空に駆けた。飛び立った場所には土煙が巻き上がり地面が抉れたそこは刻印のように残っていた。自分の存在を刻み付けるように。

澪が次々放つエネルギー弾を空中で避けながら徐々に距離を縮めていく
が、正面突破はやはり難しい。あと少しで届くのに一撃喰らって墜落なんて、そんなこと許されない。
優や爛の託された願いや想いがある
今の私には力がある。だから負けられない、負けてはいけない。

『君は…独りで背負いすぎちゃうんだね
人の期待や想いをプレッシャーに変えて今にも押し潰されちゃいそうだよ君の心』
私には見える、なんてまるで見透かされてるかのようにズバズバ言い当てられる。全く余計なことを…
『だから君は、自分のために戦って
結果的に救う使命を課されただけだもんそんなに背負う必要もない
私達のわがままに付き合わせてしまっているんだから』

“自分”のため…それが今までの戦いのモチベーション
目的のためにプリキュアやってた私…
でもそれが叶わないと知った今は。
今だけは
｢“誰か”のために戦うのも悪くない｣
思わず頬が緩んだ

そして一瞬の隙に狙いの要、澪の後ろに回り込む
『ここまで近づければ大丈夫。手を翳してみて』
背中にそっと手を近づけると、カチャッと鍵が解錠された音がして闇が溢れる
吸い込まれた。澪の中に

その瞬間

『君はずっと大切な人のために、誰かのために戦えていたよ』

声が聞こえた

「ここが…あいつの…？｣

場は一転、視界は辺り一面真っ暗闇。しかし体感ではゆっくりと降下している。いざなわれるように
エレベーターのような道中、今の場所ではほんの僅かしか輝けてない小さな光が昇ってくる
近くで見ると不揃いな硝子の欠片のようだ
この光は何処へ消えてしまうのだろうかと欠片を見ると、2人の少女が笑顔で映っていた

黒澤澪はこんなふうに笑顔を見せるんだな…
絶対、私には見せることのない柔和な表情
今は愛しみに溺れた冷たく鋭利な眼差し
同一人物なのに、別人のよう。

小さな欠片に映された様々な思い出を抱き締めている彼女は少し瞳が潤んでいた