文化祭当日 ページ41
そうして、時は過ぎ気がつけば文化祭当日になっていた。ロンジュンくんの言葉を聞いてから嫌な気はしていたがそれは的中。私は、客を呼び寄せる役を任されていた。まだミンジュがいるだけよかった、と隣で私と同じように首にかけた青いスズランテープに付けられたダンボールを両手で持つミンジュと人混みの多い廊下を歩く。
『恐怖で背筋が凍るお化け屋敷』と黒い背景に赤い文字で書かれたそれは美術部の子が制作したもので、なかなかにリアルだった。すれ違う人がチラリと目を向けるのが分かりその度に｢2階1年C組お化け屋敷やってま〜す｣と声を上げる。
｢ねえ、1Cってイドンヒョクいる？｣
｢ドンヒョクですか、いますよ｣
その中で話しかけられた他校の制服を着た男の子2人組にそう返すと、連れて行ってくれない？と言われ了承する。客が呼べたしクラスの役に立てたことが嬉しかった。
まだ呼び込みをするらしいミンジュと別れて、昇降口から2階に向かう。背後から彼らの話し声が耳に入った。
｢あいつ、俺らのこと覚えてんのかな｣
｢連絡してないし絶対ビックリすると思うよ。固まるんじゃない？｣
｢ハハ、それもそれで楽しみだわ｣
そして、E組の教室前で私はあることを思い出して立ち止まった。あ、と振り返ると2人も目を丸くして、反応を見せる。
｢ドンヒョクに会いに来たんですよね？｣
｢おう｣
｢今ドンヒョクのシフトの時間じゃないので、教室にいないんです。多分そこら辺を彷徨いてると思うんですけど…｣
思い出すのが遅くてわざわざ歩かせてしまった申し訳なさに相手の顔色を伺いながら言うと、案外にもケロリとしていた。明るい金髪をした人が、ああそっか、と言った表情で｢次のあいつのシフトの時間ってわかる？｣と告げた。
13時から一緒にダンス部見に行くって約束してて、そのひとつ前の時間に1時間分一緒にシフト入れたから、12時からか。
｢12時から1時間分入ってます｣
｢お、あと30分後じゃん｣
｢凄いね、全員分のシフト覚えてるの？｣と興味ありげに大きな瞳を動かして訊いてきたのは、明るめの茶髪をサラサラと揺らした優しそうな人だった。私は正直にドンヒョクと仲が良く、ダンス部の発表を見に行く約束をしていたので相手の時間を覚えていたことを告げる。するとまた興味深そうに食いついた。
｢へえ、ダンス部か。てことはジェミン達にも会えるんじゃない？ね、ユタ｣
｢ん、言われてみれば確かに。それ俺達もついて行っていい？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほのか(プロフ) - ジュンさん» はい！頑張ってください！ (2021年3月28日 15時) (
レス) id: a62bd22554 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン - ほのかさん» ありがとうございますー！TT 前回の更新から1週間もあいて待たせてしまいすみませんTT 文化祭の流れで色々ニヤニヤしながら内容を考えていました。これからも楽しみに読んでいただけると嬉しいです^^ (2021年3月28日 13時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 早く続きが楽しみです！！！ほんっとに楽しみなんです (2021年3月25日 11時) (レス) id: a62bd22554 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン - さなこさん» コメントありがとうございます！TT 感謝感激です…これからどんどん進展していく予定ですので是非ともこれからも楽しんで下さい^^ (2021年3月20日 13時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
さなこ(プロフ) - ぐおおおおという気持ちでたのしませてもらってます(褒め言葉です) (2021年3月18日 23時) (レス) id: a10af9d64e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジュン
| 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/baekotowhani/
作成日時：2021年2月28日 20時
