【あんスタ】レンゲソウをあなたへ【鳴上】

公演終了 ページ13

公演が終わったあとの演劇科は忙しい。


まず、公演を見に来てくれた人を外で見送る。


そして全員が帰った後は、まず着替え。


メイクとかその他諸々を落としてジャージに着替えて、舞台を元に戻していく。


掃除も、観客席や廊下、果ては受付まで。


使った場所全てを綺麗にする。


膨大な範囲の掃除は数十分では終わらないから、演劇科総出で行う。


そして、掃除が終わったら反省会。


反省会は演劇科のトップ(今年度は木田正樹)が一言言って締めとなる。


場合によっては打ち上げがあるが、今回はなかった。




そんなこんなで、時刻は午後九時。


真っ暗な廊下を、Aは歩いていた。



「…ん？」



昇降口付近に人影がある。


一瞬不審者かと思ったが、違う。


すらっと長い足を組んでいる長身は、Aが知る限り一人しかいない。



「ナル子ちゃん！」


「あら、Aちゃん、遅かったじゃない。

お疲れ様」



にっこりと笑う嵐に笑顔を返す。



「何でここに？」


「暗い中女の子を一人で帰らせるなんてできないもの。

送ってあげるわ」



ほら早くっ、と急かされ靴を履き替え、彼の元に向かった。

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