ひとりぼっちの人魚姫

想い【エイトフットside】 ページ43

温かい重みに目を開けると
俺に寄り掛かるようにして
noraが眠っていた
「っ！！！」
驚いて 思わず立ち上がろうとしたが
起こしてしまう と堪えて辺りを見渡す

あぁ そっか 片付けてくれたんだったな
いつの間にか寝ちまってたのか


時刻は早朝4時前


今からやれば とりあえず
今日の分の仕事くらい片付くだろう
そう思い noraをそっと抱えると
ベッドへと寝かせる

さて と書類に目を通す...が
終わってる？？
あっちも こっちも
全て終わってやがる
それは間違いなく俺の字ではない
きっとnoraだろう
おそらく2時間ちょっとで仕上げているのに
ミス1つないことに驚いた

「こんなに仕事出来んなら
最初から頼みゃァよかったな」

と 言いつつあの状況じゃァ
これを知ってても頼まなかっただろぉと
自嘲気味に笑う


ベッドの方へ戻ると
そっとその淵に座り
そこで眠るnoraの 一筋の紫色の髪を撫でる

「アースラ様の娘 ねぇ...
とりあえず 助かったわ」

そう呟きながら その髪に口付ける



仕事が無いとなれば
まだ陽も昇らない時間
せっかくだから寝てしまいたい
ところだが...今し方 自分で自分のベッドに
noraを寝かせた事を後悔する

さあ どこで寝る？

と考えていると
丁度noraが寝返りをうって
ベッドの隅へ転がった

まぁ いっか と 眠気に負けた俺は
スペースの空いたベッドへ潜り込む

もう長いこと入っていたのかという程
その寝床は俺自身ではなく
無防備に眠るそいつの香りが満ちていた

「ったく...調子狂う...」

背を向けて眠りにつこうとしていると
また寝返りをうったアイツは
俺の背中にピッタリとくっ付いた


なんだ この感覚は


俺のマスターの娘
俺の後輩
俺と同じ海の人間
俺の オレの おれの....？

この感覚が何なのかはわかんねェが
ただ 言えることは

「誰にも 取られたくねェな
コイツだけは」


そう感じながら
noraの方に向き直り頭を撫でる
するとこっちが心地好くなってきて
そのまま俺は微睡みに入った


ふと思うのは あの羽根のこと
noraが大事にしている 漆黒の羽根

アレは紛れも無い
マルフィのモノだ
お前はどう思ってる？
アイツのものだと知ったら
お前は どう思う？

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