ひとりぼっちの人魚姫

母の温もり ページ28

ス「それでは 私はこれで失礼しますね♪
今日は何も無いので ゆっくり過ごされて下さい！」

『ありがとう スキャター♪』

スキャターは深々とお辞儀をして
部屋の戸を静かに閉めた

『...静かだなぁ....』


ふと クローゼットに洋服が届いている
ということを思い出し 扉を開く
それと同時に首飾りが光だし
まだ出会ったばかりだというのに
見慣れた姿 聞き慣れた声の
我がマスター アースラ様が投影された


ア「あぁ〜nora 私の可愛い娘(こ)」
『アースラ様！これは一体...』
ア「ちょっとしたお呪いを服にかけておいただけさ
それより...仕事以外は私の事を
母親として接していいんだよ？可愛い娘(こ)」
『お母...様...？ありがとうございます』

久しぶりに感じる親の 家族の存在に
私は涙で目が潤んでしまった

ア「あぁ泣くんじゃないよ
服は見てくれたかい？リクルーティングには
人間達を魅了する見た目も大事だからね
きっとお前に似合うと思って私が用意したんだよ」
『えぇ お母様 とても素敵です！
でもしばらくはエイトフットさんの手伝いだって』
ア「あぁそうさ でもいつお前が
その舞台に立つか分からないだろ？
だから持っていて損はないと思うんだけどねぇ」
『ありがとうございます！大事にします！
私が人間の姿になって初めての贈り物が
お母様からだなんて 嬉しいです♪』
ア「喜んでもらえてよかったよ
悪に堕とした私が言うのもなんだが
お前はヴィランズとは思えないね
あぁ褒めているんだよ？ アイツと
ジョーと同じニオイがするよ ﾊｯﾊｯﾊ！」
『エイトフットさんと？？』
ア「まぁいいさ とにかく慣れないだろうが
しばらくそちらでの暮らしを楽しみな
またいつでも連絡しておいで
その首飾りがあれば noraが望めば
いつでも私と繋がるようになっているからね」

そう言うと アースラ様...もとい
お母様の姿は消えて 首飾りも光を失った

再び部屋に静けさが戻ったが
スキャターが居なくなった後のような
寂しさはなかった

なんだか胸の奥が温かくて
優しい気持ちになれた
ヴィランズだというのに 変なの
と自嘲しつつも 嬉しい気持ちを噛み締めて
シャワーを浴びるため 浴室へと向かった

月夜【エイトフットside】→←スキャターという人

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