ひとりぼっちの人魚姫

縮まった距離 ページ17

キラキラと光る海面に向かって翳しながら
その羽根の根元を持ってクルクルと回す

『自分の力が 嫌で 怖くて
居場所がなくって...
陸に上がってみたら
鰭を人間の足に変えられた
嫌だったはずなのに 怖かったはずなのに
スゴく 嬉しかったんです
なんだか自由を手に入れたみたいで』


変 ですよね？と クスリと笑う

エイトフットは何も言わずに
ただ 話しを聞いてくれていた


『その時に 拾ったんです』

ちょっぴり魔力を帯びた黒い羽根
他のどんな色よりも美しく見えた

空を仰げば 知らない生き物が舞っていた
まだまだ知らないことはたくさんある
まだまだ世界は広がっている
海だけじゃない 陸だけじゃない
空だってあるのだと
この美しい羽根が教えてくれた


『あ...なんか すいません！
長々と思い出話しなんて！
エイトフットさんは持ってくモノ
ないんですか？？』

慌てて持っていた羽根を
再び魔法で消しながら問いかける....と

エ「ジョー」

『え？？』

エ「ジョーでいい
敬語もいらねェ」

『え...でも私h エ「あ"ぁぁ！
いいっつってんだろ？！お前は新人だけど
契約上アースラ様の娘なわけだし
契約は絶対で
つまりマスターと同等なわけで...
あ？言ってて意味わかんね」ﾌﾌｯ
わかりま...じゃ なくて わかったよジョー』

エイトフットは名前を呼ばれて 驚いたように
目を見開いたが ハッとして咳払いをする

エ「わ わかりゃァいいんだよ！ッたく...」


自分で言ったくせに と
ｸｽｸｽ笑いながら顔を覗き込むが
エイトフットは顔を逸らし
行くぞ！と また海を泳いでいく

美しいヒト→←大切なモノ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す