Half step【3】 (ページ48)

今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:133,345 hit

144 ページ48

『最近そんなに忙しいん？全然会ってないやん。』

「…月末は忙しい。しかも、四半期末やし。
ごめんね？」

木曜の夜、お風呂から出てちょっとウトウトしてた頃に来た良規からのメッセージ

『まだ起きとる？声聞きたい。』

急いで電話して、ひとつ話が終わった頃そう切り出してきた。

『そっか。土曜は休み？』

「明後日の？休みやけど、」

『明日、小島の誕生日やから久々にメンバー集まろってなってるんよ。』

集まるのは、彼と大吾の家

それを聞いてこの前の件があるからホッとする。

久々に集まるのに、あんな、写真なんか取られてるかと思うと落ち着かない。

それでも、あのマンションに私が行くのはまずくないか？
もし、万が一なんてことがあったら…

『来れへん？』

って言われたら、断ろうと決めたのにどうしてか断れなくて、

「遅れるかもしれへんけど、行けると思う。」

なんて答えてしまっていた。

金曜、残業はしたけど、19時頃には部署内みんなが帰れそうな目処がついた。

「よし、どっか行くか！」

と盛り上がってるのは男性陣だけ

女子チームは、一刻も早く家に帰りたいとみんなバタバタと退社していき、私もあとに続いた。

彼に今から向かうとメッセージを打とうとしてると、画面が着信を知らせるそれに切り替わる。

「もしもし、」

『俺、』

「大吾？」

『あーとりあえず道渡ってくれへん？』

「は？」

声を出すと同時に、横断歩道の向こうを見ると、

「…もしかしておる？」

『信号変わるからはよ渡って』

大吾がそう言うと本当にその信号は点滅し始めて、私はヒールをかき鳴らしながら渡った。

「はあ、あっぶな！」

「話しかけたりせんでええから着いてきて？」

駅に降りてく階段も、改札も、車両も、微妙に距離をあける。

大吾が迎えに来てくれたこと、てっきり良規は知ってることやと思っていたのに、
電車の中で、スマホを確認すると良規から

『まだ会社？迎えに行かんでも大丈夫？』

なんてメッセージが来てて、軽く混乱することになる。

『遅くなってごめん！駅で大吾と会ったから一緒に行く。』

とりあえず詳しくは伝えずに誤魔化した。