Half step【3】 (ページ47)

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良規と酷い言い争いをした次の日

先に行動してきたのは、彼の方だった。

『ごめん。昨日は言い過ぎた。』

なんとも彼らしい文面。
とりあえず、お互い謝って、少しだけ電話した。

ただ、次会う約束はしなかった。

多分その方がいい。
良規もそう思ってるんやと思った。

翌週、お昼休みに藤原くんがやってきた。
佐倉ちゃんとふたり休憩室に呼び出される。

「…大丈夫やった？彼氏さん、」

「ごめん、なんか巻き込んで。」

「いやいや、あれはちょっと俺も悪かったっていうか…」

「藤原くんも知ってると思うけど、誠也さんとあの人一応同業だからさ、できれば見なかったことにしといて欲しいって言うか…」

「わかった。
何となくそんな気はしとったけど、まじか…」

「意外ですよね、Aさんバンドマンと付き合ってるとか」

「佐倉ちゃん、今の話聞いてた？」

と、口止めして、この話は一件落着したはずなのに

佐倉ちゃんに勧められて始めた写真を投稿するSNS

知り合いはほとんどいない。

繋がっている人は佐倉ちゃんと斗亜ぐらいのそのアカウントに、
先日メッセージが届いた。

『Lazy boysのファンです。こちらも是非見てください。』

『画像を送信しました』

たぶん投稿で、一度#Lazyboys をつけたことがあるから。

ファンの人はこんなところから、見つけるんやなぁと関心して、その画像を読み込んだ。

そのアカウントからは、しばしばメッセージが送られてくるようになった。

ライブ動画のURLやったりもした。

けど今日は、

『画像を送信しました』

開いて驚く。

「えっ、」

良規、やんな？

ギターケースを背負って街を歩く良規の写真

盗撮という２文字が頭をよぎる。

これも、ファンの人がするもの？

人の前に出る職業とは、私が思っていたよりも難しいのかもしれない。

もしかして、良規に限らず他のメンバーも？

…大吾も？

考え出すと、収まらなくなりそうで、そのまま見なかったことにした。