Half step【3】 (ページ45)

今日:23 hit、昨日:1 hit、合計:133,357 hit

141 ページ45

「なにしてんの、」

良規が持ってきたタオルケットにくるまって、どれくらい経っただろうか。

「……いたんや、大吾。」

部屋のドアがガチャリと開いて、驚いた顔した大吾がでてきた。

「正門は？」

「いい、」

「…いいって？なにそれ、」

それでも納得いかなさそうに、呼びに行こうと部屋に向かうから

「呼ばんといて、」

急いで止める。

「寒いん？風呂、」

まで言って、近づいてきた大吾の足がピタリと止まる。

「…なにしてんの、ほんま」

「……ごめん。もう少ししたら、帰るから。」

そう言うと、部屋に戻った大吾

タオルケットを落として、外されたブラホックを留める。

捲れ上がった服を戻していると、再びドアの開く音がする。

「大吾ごめん、もう帰るから…」

「家まで送ったるから、付き合って。」

「え？」

「ドライブ。趣味やって言わへんかった？」

「え？ちょっと大吾！」

私の荷物を持って、もう靴を履いている。

こちらを振り向いて、車のキーを指でクルクル回しながら

タオルケットを畳んで、服もちゃんと整える。

良規の部屋のドアをノックするけど、返事はない。

リビングのソファにタオルケットを置いて、一応帰るとだけ部屋の外から声をかけると、先に出て行った大吾を追いかけた。

車内では、普通の話をした。

地下駐車場に響くタイヤの音が怖いって言ったら、

今のは音階で言ったら、なんちゃらだとか返されて。

音楽家みたいって言ったら、

一応職業それなんやけどってイラッとされて。

「ねぇ、大吾、」

大吾が運転する車が一般道から高速同ろに入った頃

「聞かんの？」

「…なにが？」

合流やら車線変更が激しい市内の高速道路を大吾は慣れてるように走って行く。

でもやはり緊張感はあるらしく、こちらを見ることはなかった。

でもそれが心地よくて、

「なんやろ…泣いてたこととか。」

「……言いたいんなら、言えば？」

スラスラ口から言葉が出てきた。