Half step【3】 (ページ23)

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お風呂に入りながら考えていたのは、彼の元カノのことだ。

『今までの子は、なんも出来へん子ばっか…』

ちょっと待って。

〜ばっか、っことは複数形？
元カノ複数ってことで合ってます？

「なんなのほんと！」

つい、お風呂に私の声がこだまして気づく。

…部屋に正門くんいるんだった。

そういえば前小島くんも『甘えたくても甘えられへん人』やって言ってたよなぁ。

そっか、元カノの影響…

「…やっぱり私正門くんのタイプじゃないやん。」

バシャッと顔にお湯をかけ、モヤモヤした脳内と髪から落ちる雫ごと頭を振った。

お風呂から出ると、部屋のローテーブルの前にちょこんと座る彼の顔が振り返る。

「おかえりなさい。」

「え、あ。お先にお風呂いただきました…」

「…ねぇ、ほんまに俺、泊まってええん？」

元カノの話して、今の彼女とは全然違うタイプだって、

挙句に彼女の家には泊まりたくないってなにごと？

言いたいことをぐっと堪えて、口を開く。

「じゃあ、帰るん？」

「そうやなくて…俺、どこで寝たらええん？」

「あ！」

お風呂出てきたらスキンケアを1番にしたいからまだ髪は濡れたまま。
頭から被ってたバスタオルをその辺にポイッと投げて、向かっていったのはクローゼットで、ハンガーラックの上の棚に向かって手を伸ばす。

「これ？」

「うん。取ってくれるの？」

いつもならイスに乗るけど、今日は彼がいてくれてよかった。

「なにこれ？」

「寝袋〜、じゃじゃーん！」

袋から出すと、クルクル巻いてたのが解けてあっという間に床の上に広がる。

足から入って首元までジッパーをあげると、あっという間に私はミノムシ状態になった。

「あー今お風呂上がりだからあっつい。」

腕だけ出したけど、いまだ鯉のぼり状態で下半身の自由がない。

助けてもらおうと彼を見ると困惑した顔。

「なんかあった…？」

「ん？…あぁ、…趣味、キャンプかなんか？」

「え？そんなわけないやん。
泊まる時、寝るとこがないって置いてったの」

「…斗亜が？」

これ、いつまで置いとくんだろう…
まあいっか、誕プレって笑いながら言ってたし。

「んーん。だい、あれ？」