Half step【3】 (ページ14)

今日:26 hit、昨日:30 hit、合計:133,390 hit

110 ページ14

お正月ぶりに実家に帰った。

というのも、お父さんの誕生日で、かおりさんに時間があったら会いに来てやって欲しいと言われたから。

実家の近くまで電車に揺られながら、こんなに遠かったけ？なんて思う。

前は大吾の運転で、あーだこーだ愚痴ってたらすぐ着いた印象が強かったから。

「ああ！Aちゃん髪切ったん？」

「うん。…変かな？」

「ううん、ボブもよお似合ってる。」

美容室で、『ボブにしたらどんな感じですか？』って軽く聞いたつもりなのに、『絶対似合うと思う！』なんて言われて、割とざっくり切られた髪。

…別に正門くんが好きだからそうしたわけじゃない。
その証拠に髪色は意地でも黒にしなかったし。

「彼氏でもできたん？」

「え！？」

驚いて大きな声をあげてしまうと、笑顔になるかおりさん。

やってAちゃん、今日は結婚したい〜って言わんなって。

いや、前もそんな言ってたつもりないんやけど…
これがまさに女の勘ってやつ？？

「なに〜？どんな人なん？」

「かおりさんも知ってる人、」

「うそ！そうなん、
ってことは、大吾の友だちやろ？」

「うん。」

「どうしよ、息子になったら。」

なんて言いながら、笑ってるかおりさんは、実際にそうなっても問題ないのだろうか？

「大吾は？なんか言ってた？」

「…大吾には、まだ言ってへん。」

…大吾が今何してるのか、ずっと前から気になっていたのに、直接連絡を取れなかったのは、最後に会った日、なぜか変な夢を見たから。

朝起きたら、前回のように大吾のベッドにいて、私は泣いていた。

でも思い出しても、お母さんが夢に出てきた記憶はない。

泣くほどのことがあった、夢の内容が、わからない。

大吾は、私が夜しばしば泣くこと知ってるから、特になにか会話することもなく、あの家を出たけど、

あの日の出来事は私に微かな違和感を残して、これは未だに消えてくれなかった。