Half step【3】 (ページ12)

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大丈夫、間違ってない。

彼なら…

「…いいよ、」

そう伝えた私に

「え？何がええん、」

たぶん単純に私が何に対して答えたのか、えぇ？と笑いながらもう一度聞き直す彼。

彼の胸の中で、精一杯息を吸い込んで、口から吐き出す言葉は、私の本心だ。

「正門くんは手出してもいいよ。」

さっきまで笑ってた彼が、動きを止めた。

「なにそれ、」

「だって、結婚する人なら
…ダメ、じゃないよね？」

やっぱり分からないことは、今でもある。
彼が喜ぶかな、と思って伝えたことで、嬉しいと言った楽しそうな彼はいなくなった。

力の抜けた彼の腕の中で、上半身を少し動かして顔を覗き見る。

「…据え膳…」

ボソッと言った彼の声と、
こっちを向かない目線が、ますます私を不安にした。

「なに…？すえ、？」

ほんとに小声でそう返事すると、

ガバッと、離されたお互いの身体。

「正門くん？」

「今あかんこと考えてた。
っ、あーーもうあかん、先風呂はいってきてもええ？」

廊下をダーと、突き進んだ彼は、お風呂場にお湯張りをしに行ったらしい。

置いてかれた？？
とりあえず、リビングに入れてもらおうと廊下を歩いてると、急に出てきた彼

「いや、やっぱりAさん先入って。
あ、服とかないよな？ごめん、部屋から取ってくるから」

無駄な動きが多いというか、
ほんとに彼？と思うほど、中身が入れ替わってしまったみたいだ。

「正門くん…？」

「あ！そもそも着替えもないやん、」

え、どうしよ。
コンビニ寄るん忘れとった

とか、何やらかなり悩んでるから、

「いいよ、正門くんお風呂入ってる間にコンビニ行ってくるから。」

やんわりと大丈夫だよ、って言ったのに

「それは心配やから、あかん！」

怒られてる？って言う語気で却下される。

「じゃあ、…お湯はりしてる間に2人で行く？」

「行こ、早く。」