毒林檎と醒めないキス -永瀬廉-

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勉強しようと図書館に入ると、あまりに強烈な冷気で鳥肌が立った




『図書館、5階まで上がるとカタい文献ばっかりで人もいないから自習しやすいよ！』


……って、たしか杏里が言ってたから、エレベーターで5階まで上がる



でもさすがはテスト期間。5階にも割と人はいて、仕方なく階段で6階に上がった。





文献に次ぐ文献。本棚に次ぐ本棚。



本の山に隠れるように、奥に1席空いているのが隙間から見えた。





真っ直ぐその席に向かって、椅子を引こうとした時





「……え」







見たくない2人が




奥の窓際の席に、いた






『ほんまに何もないから』





文字で送られたはずのメッセージが、永瀬くんの声で頭の中に響いて





気がついた時には、2人に背を向けて本棚の陰に隠れていた




別に不自然に近い距離だったわけでもなく



友達なら、なんなら私と顕嵐くんもあの距離だったかもしれないけど





それは私の気持ちを沈めるには十分すぎる景色で





逃げるように、図書館を出た






一度振り返ってみたけど






追いかけて来てくれる人なんて、いない





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