毒林檎と醒めないキス -永瀬廉-

◆19 ページ19

.



「プレゼントくらいええやろ、付き合ってるわけやないんやし」


「まあそうだけど……、仮にも勉強のために行ってる所でうつつ抜かして撮られでもしたら、事務所に何言われるか」





紫耀の言う通り、大学で彼女でも作ったら大問題。そんなこと、俺も分かってる。



いや、分かってはいた。



入学前、同じ大学を卒業した健人くんから言われた言葉。



『大学の女の子とは関わるな。ファンの子に誤解される可能性がある。ファンの子を傷つけるようなことはしちゃだめだ。


それに……、お前がアイドルだから近づいて来る子は多い。もしそんな子に惚れたりしたら、傷つくのは廉だ』



それを忠実に守って、1年生を終わらせて。





みんな気を利かしてくれているのか、しつこい子はあまりいなかったし、大学生活には満足していた



芸能活動をしてる人が多い大学で、モデルをやっている男友達もできた。ただ、お互い仕事があって昼休みは1人のことが多かった



1人で食堂とかにいるのはリスクが高い。3限で使われることのない523教室で、昼休みを隠れるように過ごしていた



.

◆20→←◆18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す